ビットコインの価格にこれほどのボラティリティ(価格の変動性)があるのは、なぜなのだろうか?その答えは一つではない。複数ある理由のうちのいくつかについて、考えてみたい。
1. バブルは崩壊を「始めたばかり」
わずか1か月前を振り返ってみるだけでも、仮想通貨への投資が巨大なバブルを生み出していたことは明白だ。ただし、一般的な見方とは異なり、バブルは1日にして完全に崩壊するものではない。
通常は、完全に崩壊するまでに数か月がかかる。バブルには必ず、それで底打ちかと思わせる兆候が何度も見られる。過去のバブルの例から見れば、仮想通貨バブルの崩壊は始まったばかりだ。
2. 「ファンダメンタルズに基づく適正価格」がない
ビットコイン購入の問題点は(急落してもファンダメンタルズへの信頼感によって再び上昇する株価とは異なり)、利益をもたらさないということだ。ビットコインは、ユーザー間でお金をやり取りする代わりに使われる単なるインターネット上のトークンだ(取引する際には手数料も払わなければならない)。
言い換えれば、ビットコインにはファンダメンタルズがなく、今後もそれを持つことはない。ビットコインに投資する人たちにある唯一のものは、その価値が将来、需要に基づき高まるという願望、あるいは祈りに近いものだけだ。
3. 頻繁に起こる「市場操作」
仮想通貨の利点とされてきた「政府の規制がない」ことは、反対に言えば価格の操作が可能ということでもある。規制がなければ、悪意のある市場参加者たちは価格を操作し、その他の投資家たちが気付くよりずっと前に、売って利益を得ることができる。
バブルが破裂してもなお、仮想通貨市場ではブルトラップ(強気のわな)が続いているようだ。取引高が大きく減少するなか、押し目を待っていた投資家たちが反落場面で買いに入り、また反発するという状態となっていると見られる。市場操作がされやすい状況は、ボラティリティに大きく影響する。
4. 「詐欺」の横行
ファンダメンタルズに基づく価値がない資産は何でも、詐欺師たちの格好のターゲットだ。「私が持っている仮想通貨を今日買い取ってくれれば、明日の夜にはランボルギーニが家に届くよ」などと、資産の価値を大げさに高く偽ることもできる。
取引所を閉鎖したビットコネクトのウェブサイトには、自殺を考えている人の相談を受け付けるホットラインを紹介するページもある。こうしたニュースもまた、投資家の間に「どの仮想通貨が本物なのか?」という疑問をもたらし、価格の乱高下を招いている。