しかし、iPhoneはその美しい外観と高品質なハードウェア、ユーザーフレンドリーなソフトを一体化したことで世に広くアピールできた。スマートスピーカー市場に遅れて乗り込んだアップルは、再びこの成功を再現できるのだろうか──。
ベテランのテックアナリストのジーン・ムンスター(Gene Munster)が、アップルのスマートスピーカー「HomePod」の試用レポートを発表した。ムンスターは350ドルで発売されたHomePodをアマゾンやグーグルの製品と比較した結果、アップルの製品はサウンド面で大きなアドバンテージを持っているとの結論を導き出した。
ムンスターによると、アップルのスマートスピーカーは音が良いだけでなく、HomePod上のSiriとの会話は競合製品の音声アシスタントに比べ、より人間味があると述べている。クライアント向け資料で彼は次のように書いた。
「HomePodで質問をした場合、Siriは問いかけの内容を頭から繰り返したりしない。グーグルアシスタントやアレクサよりも、ややスムーズな会話が行える」
HomePodはノイズキャンセリング機能を持つため、エコーやグーグルホームよりも高い聞き取り能力を持っている。他のスマートスピーカーが相手の場合、大きめの声で話す必要がある環境でも、HomePodなら通常のボリュームの声で操作できるという。「これはHomePodの最も優れたポイントといえる」とムンスターは述べた。
スマートスピーカーにおいて、聞き取り能力は大事な要素だ。かつてのiPhoneがユーザーフレンドリーな操作性で、支持を獲得したのと同様に、ボイスでの操作は次世代のコンピューティングに欠かせないものだ。
HomePodは質問に対する回答の正確さの点では、競合に大きく遅れをとっている。HomePodの正答率は52.3%だったのに対し、グーグルホームは81%、アレクサは64%だった。
市場シェアは12%程度の見込み
しかし、HomePodは回答の正確さでライバルと競い合う必要はない。人々が自然に話しかけたくなるような存在を目指せばいいのだ。
アマゾンのエコーの欠点は声を拾いにくい点で、筆者はエコーを動作させるために室内で何度も叫ぶ必要があった。グーグルホームの場合も、起動時に毎回「OKグーグル」と呼びかけねばならないのは、不自然だ。自宅のリビングで企業価値数千億ドルの巨大企業の名を何度も呼ぶのは、奇妙な思いにさせられる。
スマートスピーカー市場において、ユーザーとの自然なコミュニケーションに注力するアップルのアプローチは正しいものと思える。さらに、HomePodには競合の性能を上回るA8チップが搭載されており、今後はその回答の精度を高めていくというのがムンスターの見立てだ。
しかし、HomePodの市場シェアは2018年に世界で12%レベルにとどまるとムンスターは予測している。また、2022年になってもHomePodのシェアはさほど変わらず、グーグルのシェアが50%近くに伸び、アマゾンのアレクサのシェアは現状の半分の37%になるとムンスターは見込んでいる。