他方で、新作の出版や配信中心で収益を支えられるものかどうかは悩ましい。途切れることのない魅力的な人気コンテンツの投入は、そう容易なことではないからだ。それでは異業種を取り込んだコングロマリットを、といってもすぐに実現できるとは思えず、かえってリスクのみの恐れもある。
やはり、まずは、餅屋は餅屋、の取り組みが現実的だ。例えば過去の作品からも繰り返しリクープできるような、あるいはコンテンツの展開に紐づいた物販・サービスのような、安定した収入源を確保することが経営課題ではないか。
紙芝居に戻る。子供たちは「紙芝居代」を払うことはなかった。「タダ」で見ていたのだ。だが、やおら紙芝居のおじさんが取り出す水飴や干菓子を競うように買い求めた。10円か20円の代物だが、人数が多ければそれなりの売り上げになる。しかもお菓子を買わない子供は、買った子供たちによってはじき出される。有料客がロハの客を排除するシステムだ。
おじさんはニコニコと「ケンカしちゃだめだよ」と言いながら、「今日はここまで。続きを見たい子は明日おいで。美味しいリンゴ飴を持ってくるよ」子供たちが親に小銭をせびることを見越したビジネスモデルだった。