アマゾンの制作部門は今後、Salkeが率いていくことになる。Salkeはこれまでのキャリアを通じ、エンタメ業界のクリエイターたちと緊密な関係を築いてきた。
2010年に創立のアマゾンスタジオの作品は、推定8000万人のアマゾンプライム会員らに視聴されており、同社は今年45億ドル(約4900億円)以上の予算をコンテンツ関連に投資しようとしている。同スタジオはエミー賞を受賞した「トランスペアレント」や、2017年のアカデミー賞作品の「マンチェスター・バイ・ザ・シー」などを送り出した。
しかし、Roy Priceを失った打撃は大きく、ドラマ部門を統括したJoe Lewisやリアリティ番組部門のConrad Riggsも既に会社を去っている。
Salkeは今後、CEOのジェフ・ベゾスの狙い通り、広く大衆に愛される大型予算作品の制作に注力していく。アマゾンは世界1億1800万人の会員数を抱えるネットフリックスを競合に見据えており、ネットフリックスに匹敵するヒット作を送り出すことがSalkeの使命だ。
NBCに在籍時にSalkeは、日本ではNHKでオンエアされた人気ドラマ「THIS IS US 36歳、これから」やディック・ウルフの「シカゴ」シリーズなどの有名ドラマを担当。また、「グッド・プレイス」シリーズも人気を博し、NBCは昨年、米国の19〜49歳の世代に最も視聴されたテレビネットワークになった。
Salkeはまず、アマゾンが2億5000万ドルを投じて放映権を獲得した、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの制作を統括する予定という。
アマゾンは米国の反セクハラ運動の余波で、多大な損失を被った。オリジナルの人気ドラマ「トランスペアレント」の主演のジェフリー・タンバーもセクハラ疑惑により降板。ウディ・アレンが監督を務めた最新作「A Rainy Day in New York」も、アレンのセクハラ疑惑が明るみに出たため、劇場公開が危ぶまれている。
そんな状況下でアマゾンスタジオのトップに女性役員を就任させることは、世の批判をかわす上でも得策といえる。テレビ番組の制作に豊富な知見を持つSalkeの起用により、アマゾンはコンテンツ分野の覇権を広げていこうとしている。