その他の企業によって、すでに大麻ワインや大麻を混ぜたビールは造られている。だが、大麻のみから醸造されたビールを造るのは同社が初となる。PBによると、新製品は「アルコール以外の酩酊成分を含む」低カロリーで低糖、グルテンフリーの飲料になる。
酒類大手もすでに進出
米国の全50州で近い将来に嗜好(しこう)用大麻が合法化されると見込むアルコール飲料大手コンステレーション・ブランド(CB)は、同業他社に先駆けて昨年10月、カナダの医療用大麻を扱うカナダのキャノピー・グロース(Canopy Growth)の発行済み株式のうち約10%をおよそ1億9000万ドル(約207億円)で取得すると発表した。業界誌ワインビジネス(Winebusiness)によると、CBは大麻を使った炭酸飲料や、コーヒー、果汁ベースの飲料の開発を目指していると見られる。
2016年に創業したPB の最高経営責任者(CEO)はドリンク・ビジネス誌に対し、こうしたCBの大麻に対する関心が、PBの資金調達を容易にしたと明らかにしている。また、大麻が合法化されれば関連市場に進出するのはたばこ業界になると予想されていたものの、実際には酒造業のCBだったことを指摘。自社の方向性が正しいことを証明するものであるとの考えを示した。
業界の中心はカナダに?
米国で大麻合法化が今後さらに進むと考えたのであれば、CBが国内ではなくカナダの関連企業に投資をしたのはなぜだろうか?
カナダは17年前に、初めて医療用大麻を合法化した国だ。そして、同国の連邦政府は近く、食用・飲料用の大麻をいずれも合法化する見通しだ。政府はこれを、来年中に実現させる考えを示唆している。
一方の米国では現在のところ、21州で医療用大麻が、8州で嗜好用大麻が合法化されている。米国の大麻市場は2016年に約70億ドル(約7620億円)規模だったが、2026年には500億ドル規模にまで拡大すると予想される。
ただ、米国では大麻に関する連邦政府と各州政府の対応が異なる。連邦法の下では銀行口座の開設や連邦税の申告など企業にとって必要なことさえ、大麻関連業界にとっては困難だ。そして、ジェフ・セッションズ司法長官は各州や企業に対し、大麻の合法化を認めていない連邦法に従うことを求めている。
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米連邦法は現在も、大麻を規制物質法の下で「スケジュールI」に分類している。「現時点で認められた医学的用途がなく、乱用の危険性が高い」薬物であり、ヘロイン、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)、エクスタシー(MDMA)、メタカロン(クオルード)と同じ分類に入る。
恐らく、合法化された大麻によって生まれる市場に投資をするのであれば、米国よりカナダを選ぶ方が賢明だろう。「大麻ビール」が来年中にカナダで発売されたとしても、CBであれその他の「合法的な」企業であれ、米国向けに輸出を始める者が現れることはなさそうだ。