英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が発表した世界の経営学修士(MBA)課程ランキング2018年版では、スタンフォード大学が首位に躍り出た。
同大経営大学院の卒業生(卒業3年以内)の年間平均給与は、経営大学院で史上初の20万ドル(約2200万円)に達しており、同大が一位になったのは当然の結果とも言える。FTのランキングは、他のMBAランキングに比べて加重給与と昇給を重視し、それぞれ20%の比重が与えられている。
またスタンフォード大学は、研究成果(10%)の分野での評価も高く、勝利に貢献した。同大学が1位になったのは、ランキングが始まった1999年以来2度目だ。
昨年、一昨年と1位だったINSEADは今年、2位へと後退した。しかし、筆者が共同ディレクターを務めるMBA出願指導サービス企業フォーチュナ・アドミッションズ(Fortuna Admissions)では、INSEAD関連の問い合わせが過去2年間で急増しており、FTのランキング結果により同校の世界での評価は向上している。
同校のMBAは、欧州・アジア経営大学院の多くで好まれる一年制を採用し、投資回収率も非常に良い。また最近では、米国の「トランプ効果」により多くのMBA志願者が米国以外の教育機関を目指すようになった。
今年のFTグローバルMBAランキングの中で私が大きな関心を寄せたのは、アジア(特に中国)の動きだ。
ランキング入りしたアジアの経営大学院の数は、過去最高を記録。アジア最高順位を獲得した上海の中欧国際工商学院(CEIBS)は昨年から3つ順位を上げ、8位となった。中国本土の教育機関が世界ランキングのトップ10に入るのは初めてのことだ。(2013年には香港科技大学(HKUST)が8位に入っている)
昨年ランキング入りを逃した中国人民大学と復旦大学管理学院は今年、39位と42位にそれぞれランクイン。シンガポール経営大学は、初のランキング入りを果たした大学として最高の49位を記録。シンガポール国立大学は8つ順位を上げて18位になった。同じくシンガポールの南洋理工大学経営大学院は昨年から2つ順位を上げ、今年は22位だった。
果たして、CEIBSが同ランキングの首位を飾る日は来るのだろうか? INSEADは8位だった2006年から10年間でトップへと上りつめており、CEIBSもそれに見習うことはできる。中国経済の予測と同様、問題は達成できるかどうかではなく、いつ達成するかなのかもしれない。
フィナンシャル・タイムズのまとめた2018年世界MBAランキング上位10校は以下の通り。
1位 スタンフォード大学経営大学院(米国)
2位 欧州経営大学院(INSEAD)(フランス/シンガポール)
3位 ペンシルバニア大学ウォートン校(米国)
4位 ロンドン・ビジネス・スクール(英国)
5位 ハーバード・ビジネス・スクール(米国)
6位 シカゴ大学ブース経営大学院(米国)
7位 コロンビア・ビジネス・スクール(米国)
8位 中欧国際工商学院(CEIBS)(中国)
9位 マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン校(米国)
10位 カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院(米国)