仮想通貨市場のバブルはすでに、破裂直前にまで膨れ上がっていたと考えることができる。さらに、バブル崩壊の規模を拡大し、打撃をより大きくすることに大手銀行が力を貸したと見ることもできる。
ウォール街と大手銀行が、仮想通貨にとっての追い風になっていた時期もあった。昨年第4四半期、米国の金融業界はビットコインを投資対象として認識し始め、市場参加者をより幅広く募ることを目的に、投資のための手段の確立やメカニズムの構築に乗り出していた。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)によるビットコインの先物取引の開始がその例だ。
さらに、大手銀行は市場を拡大するための流動性も提供した。投資家たちが、仮想通貨をクレジットカードで購入することを認めたのだ。だが、仮想通貨のバブルをますます大きく膨れ上がらせたのは、このことだった。
ビットコインを購入していた人のうち、クレジットカードを使っていた人の割合はどのくらいだろうか──?学生ローンの提供やクレジットカードの発行、金融商品の販売を手掛ける米LendEDU(レンドイーディーユー)の調査によると、答えは18.15%だ。さらに、そのうち22.13%は、クレジットカード利用分の支払いをしていなかった。
仮想通貨市場が最も流動性を必要とするようになった今、銀行は同市場への流動性の提供を制限している。恐らくこうした銀行側の対応が、価格の暴落につながったと言える。ただ、公平を期すために言えば、銀行の側には当然の気掛かりがあった。仮想通貨の価格が大幅に落ち込んだ後、クレジットカードを使って投資をしていた人たちに、必要な支払い能力が残るのかどうかという懸念だ。
だが、金融機関はそもそも、仮想通貨のようなリスクの高い資産の購入のためにお金を貸すべきではなかった。そして、バブルの状況をさらに加速させるべきではなかったのだ。
(仮想通貨やトークンへの投資は、非常に投機的なものだ。市場にはほぼ規制がない。投資額の全てを失う可能性があることを覚悟しておく必要がある。なお、米ロングアイランド大学ポスト校の経済学教授である筆者は、仮想通貨を保有していない)