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2018.02.09

アジアのニュービリオネア 瀬戸際に立つ「Razer」の野望

ミンリャン・タン Razer共同創業者兼CEO(Photo by Kevin Nixon / Edge Magazine via Getty Images)

シンガポールで弁護士としてキャリアを積んだミンリャン・タンは2005年にゲーミングデバイス会社「Razer」を共同創業。李嘉誠(リー・カシン)のHorizons Venturesを含む複数の投資家からの支援を得て、2017年11月、香港証券取引所に上場した。時価総額は約16億ドル(約1760億円)、株式の34%を保有するタンは推定資産約6億ドル(約660億円)でForbesのシンガポールのリッチリスト50に仲間入りし、同国で最も若い「自力成功資産家」となった。

40歳のタンは、次のアジアのテック・ジャイアントを築こうとしているのかもしれない。しかし一方で、Razerの損失は増え続けている。

タンはここ数年間、シンガポールとサンフランシスコを拠点とするRazerの事業拡大に取り組んできた。本人の覚えている限り、4時間以上の睡眠をとったことがない、という。ジョージ・ルーカスが設立し、その品質で名高い音響技術会社THX社を買収した際には特に眠れぬ夜を過ごした。16年10月、買収が実現したがその金額は明かされていない。

「我々は、映画や音楽などエンターテイメントの世界への大きな可能性を手にした」。トレードマークとなっている黒シャツとブルージーンズに身を包んだタンは言う。「本当に心が弾むよ」。

他にも15年7月Razerは、アンドロイドOS用ゲーミングコンソール、ウーヤー(Ouya)のソフトウェア資産を買収。さらに17年1月にはアンドロイド端末メーカーのネクストビット(Nextbit)も傘下に置き、Razerが株式公開した同年11月、最初のスマートフォンを公開した。

この間Razerは、14年に2000万ドルの黒字を記録した後、15年には2000万ドルの赤字に転落。さらに16年には赤字額が6000万ドルへと膨らんだ。

「人生は短い」。そう言うタンの野望の光はまだ消えない。

編集=岩坪文子

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