ビジネス

2018.02.14

急成長のスタートアップはなぜ「徹底的な会話」にこだわるのか

ラン・サリグ Datorama共同創業者兼CEO


──リーダーとなる人物をどのように評価するのか。

サリグ:正直に言って、とても難しく、特効薬はない。うまくいくこともあれば、うまくいかないこともある。これまでのキャリアで数千人を面接してきていると思うが、いまだに自信がない。

とはいえ、私が魅力的だと感じ、一緒に働きたいと思った人材に会った時にしていることがある。それは、その人物のビジネスのエコシステムに可能な限り入りこみ、“人となり”を理解することだ。クライアントや上司、同僚がその人物をどのように評価するのか。それを、しっかり聞き取るように努めている。レファレンスチェックをすることで、少しでも判断の精度を高めている。

具体的にいえば、仕事ができることも大事だが、一緒に働く上で心地よい人なのかどうかが重要だ。注意すべきは、エゴが強い人。いかに仕事ができたとしても、会社よりも自分自身のエゴを優先し、潜在的に組織のカルチャーを破壊してしまう可能性があるため、採用を控えるようにしている。

──どのように理想とするカルチャーを維持するのか。

サリグ:率直に言って、チャレンジだ。NYにいるCMO(Chief Maketing Officer)と、東京、シドニーやロンドンなど異なる国にいるマーケティングマネジャーが仕事をすることもざらになる。時差なども加味すると、円滑なコミュニケーションをとること、共有のカルチャーを持つことは容易ではない。だからこそ、いつも上手くいっているわけではないが、地域軸だけではなく、機能軸でも「徹底的に会話すること」は大切にしている。

2、3か月毎に全社でミーティングを開催し、直接対面で会話し、会社で起こっているあらゆることを共有するようにも努めている。対面や電話で、“リアルなコミュニケーション”をとり、お互いで人間関係を作っていく、その上で初めて共有のカルチャーが持てると思う。

デートラマでは会社でカルチャーを維持するために、大切にしている原則がある。「Openness」だ。会社の中で、何かが上手くいっていない時、何か対処が必要なことが起こっている時、気軽に言い合え、質問をしあえるフラットなカルチャーを作りたいと思っている。このオープンなカルチャーに欠かせないのがコミュニケーションの量だ。

忙しくなるとついついメールなど効率的なコミュニケーションを偏重しがちだが、「対面や電話で会話をする」ことの重要性は大きい。従業員には常々、メールではなく、直接電話や対面でコミュニケーションを取るように口を酸っぱくして伝えている。

ちょうど2週間前も、日本オフィスの1人がNYにトレーニングで来た。コスト面だけ考えれば、わざわざ行く必要もないが、対面の人間関係を作ることは、円滑なコミュニケーションのために重要なこと。多くのオフィスでこのことを徹底することで、フラットなカルチャーをグローバルに維持できていると思う。

文・写真=小田駿一

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