フォーブス ジャパン編集部 編集者


ペットテック分野も同様に、今後は世界的なトレンドになるだろう。すでに米国では動きはじめている。その象徴と言えるのが、次の事例だ。米国のEコマース市場での最大のM&A案件は、米国最大のペットフードチェーン、ペットスマートによるペット関連のEコマースの「Chewy(チューイ)」の買収である。買収額は35億ドルとも言われている。

さらに、アニマルプラネットなどを持つディスカバリー・コミュニケーションズがスタートアップを買収するなど、上質なコンテンツの囲いこみも行われている。我々が日本でペット専門メディアを運営するPECOに投資をした理由も、米国のペット市場のトレンドの影響が大きい。日本では、15歳未満の子供の数より、犬や猫の登録数の方が多い。ペットの役割の変化もあり、日本におけるペットテック・シーンは注目すべきであろう。

DCM全体では17年、20〜30社の投資を行い、日本では16年12月から17年11月までに50数億円投資をした。前述のPECOも数億円投資をし、料理動画サービス「DELISH KITCHEN」を運営するエブリーに十数億円、名刺管理のSansanに2回の追加投資(最初の投資から総額約33億円)、会計ソフトのfreeeへの投資にも参画した(最初の投資から総額約25億円)。

DCMは選別的に投資をし、より深く長期的に行っていく投資スタイルが特徴的だ。フィンテックのスタートアップ「FOLIO(フォリオ)」はシードから投資を行い、18年1月に70億円の資金調達を行うとともに、LINEと資本業務提携を締結し、さらなる成長に注目している。

我々が日本で投資を続ける理由は、世界から「日本のベンチャー市場は魅力がある」と、より注目される市場になるようにサポートしたいから。現在、日本のベンチャーキャピタル業界は、よくも悪くも事業会社によって支えられている部分が大きい。いままで以上に、日本のベンチャー・エコシステムを厚くするためには、機関投資家の存在が必要になる。

そのためには、機関投資家が期待しているハイリスク・ハイリターンを実現する“大ホームラン”が必要になるだろう。その意味では、時価総額1000億円を超えるユニコーン級のベンチャーイグジットが数多く出れば、パースペクティブ(将来の見通し)が変わるのではないか。

実際に、米国の大学基金をはじめ「日本のベンチャー・シーン」について聞かれることが増え、関心が少しずつ高まっていることを実感している。ただ、まだ圧倒的に絶対数は少なく、リターンを出せるかどうかにかかっている。だからこそ、私は“数より質”が大事だと思っている。シードステージ、アーリーステージなど早い段階から、深く長く、大ホームランまでお付き合いすることを愚直にやり続ける必要がある。

ベンチャーキャピタル側が「とにかくホームランを求める」というマインドを持つと、起業家側も「なるほど」と思うのではないか。ニワトリと卵ではないが、ベンチャーキャピタルが変われば、一気に「日本のベンチャー市場」が盛り上がっていくだろう。

文=山本智之

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