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フォーブス ジャパン編集部 編集者

SFIO CRACHO / shutterstock.com

米シリコンバレーに拠点を置き、世界的有力ベンチャーキャピタルとして知られるDCMベンチャーズ。米国Forbesの「Midas List」に10年以上連続で名を連ねたディビット・チャオらが1996年に創業した同社は、運用総額30億ドルを超え、シリコンバレーの他にも、北京、東京にも拠点を構える。

そのDCMが今注目するトレンドとは? ゼネラルパートナーの本多央輔に話を聞いた。


投資対象として注目している領域は昨年度から大きくは変化していない。フィンテック、アグリテック、AI(人工知能)、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)などだ。ただ、2016年からの変化としては、日本を含めた世界的な「動画」分野の潮流が挙げられる。

例えば、投資先である中国の動画共有アプリ「Kuaishou(快手)」は、テンセント、バイドゥ、セコイア・チャイナなどから約1500億円を調達した。現在、ユーザーの多くは中学生、高校生らの若い世代で、ライブ動画サービスの拡大により、16年から17年にかけてユーザー数が急増。マネタイズも順調に進み、月次で100億円以上稼げる規模になった。

同様の流れは、米国でもある。同じく投資先である音楽動画作成アプリ「musical.ly(ミュージカリー)」は現在、米App Storeのビデオ・写真ランキングで、ユーチューブ、スナップチャット、インスタグラムの次にランクインしている。誰でも口パク動画が作成できるアプリで、13歳〜17歳の若い世代から絶大な支持を集めている。ユニークなのは、CEOをはじめとする経営陣は中国人だが、ユーザーは100%米国人である点。同社は、中国のソーシャルメディア大手の「Toutiao(今日頭条)」が買収したことでも昨年末に話題となった(様々なメディアでは買収額8億ドル〜10億ドルといわれている)。

こうした動画の流れは「モバイルデーティング」においても注目だ。マッチングアプリ大手「ティンダー」のように、大量の写真とテキストから探すのではなく、厳選して真面目に出会いを探している人を対象にした動画を活用したアプリが伸びている。私が役員を務める「Coffee meets Bagel」もその代表例だ。エンゲージメントを高めるために、人の仕草や表情がわかる動画を活用。月間利用者数(MAU)に占める1日あたりの利用者数(DAU)が6割を超えており、ソーシャルネットワーク上のサプリメンタリーとしての機能が効果を生んでいる。

世界が注目する農業×テクノロジー

もうひとつは、アグリテック。世界的なトレンドにもかかわらず、日本ではあまり語られていない印象がある。17年7月、我々の投資先「Plenty」によるアグリテック最大となるシリーズBラウンドが行われた。ソフトバンク・ビジョン・ファンドをはじめ、エリック・シュミットやジェフ・ベゾスの投資ファンドなどが2億ドル(約220億円)の投資をし、シリーズBのディールとしても米国最大規模となった。

シリコンバレー発の同社は、いわゆる「バーティカル・ファーム」と言われる“インドア農業”分野。温度調整された屋内施設で、トレイや吊り下げ式のモジュールで垂直に作物を栽培している。従来と比較し、350倍とも言われる圧倒的な生産量をあげられるほか、水や肥料も効率的に提供でき、省電力でもある。

収穫から数時間で消費者に届けられ、かつ、低価格。しかも無菌・無農薬のため、商材としても長く鮮度を保つことができる。アマゾンでの供給も決定しているが、米アマゾンのホールフーズ・マーケット買収の流れを見ても、位置付けは明確になったのではないか。世界戦略的に見ても、同様に重要であろう。

こうした技術には、米国内はもちろん、中東諸国をはじめ世界からの関心も高い。Plentyはすでにアジア進出を決めている。「規模の経済性」が効く世界だからこそ、こうしたディールが行われたことはアグリテック分野に一石を投じたと言えるだろう。

日本は農業大国であり、アグリテックは機会があると思う。ただ、日本の問題は、規制産業にいると規制の枠組みの中で考える癖がついてしまうことだ。とはいえ、高品質な農作物を生産する日本の生産者と、日本のアグリテック企業の協業は今後、増えていくであろう。規制を“破壊”する発想を持っているスタートアップがあれば投資をしたい。

文=山本智之

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