累計50万人が体感、エプソンMOVERIOの「VR展覧会」が米国初上陸

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AR(拡張現実)を用いたスマートグラスといえば、マイクロソフトの「ホロレンズ」や米国のメタカンパニーの「Meta 2」、さらにはマジックリープが開発した「Magic Leap One」を思い浮かべる人が多いだろう。

ここでエプソンの名をあげる人はさほど多くないはずだ。しかし、エプソンのスマートグラス「MOVERIO(モベリオ)」は、美術館や博物館などのアートイベントで既に50万以上の人々にAR体験を提供している。

「米国ではスポーツイベントを訪れる人々の合計数よりも、美術館や博物館を訪れる人の数のほうが多い」と語るのはARtGlassのCEOを務めるGreg Werkheiser。同社はエプソンのパートナー企業として、美術館や博物館向けにARソリューションを提供している。

エプソンのAR部門長のAnna Jenはこう語る。「エプソンはプロジェクターの製造元として世界ナンバーワンのポジションにいる。1980年代半ばからプロジェクターのウェアラブル利用に関わる特許を取得しており、その技術をスマートグラスのMOVERIOに投入してきた」

欧州の美術館では既にMOVERIOのテクノロジーを用いたARツアーが実施されており、これまでに50万人以上が体験した。そのARツアーが今回初めて米国に上陸する。

WerkheiserによるとARtGlassのソリューションを用いたARツアーはアメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンの邸宅跡地として有名な、マウントバーノンなどで行われるという。マウントバーノンには1860年以来、累計で8600万人の観光客が訪れた。

「ARtGlassを用いたARツアーでジョージ・ワシントン本人が、人々をもてなしてくれる」とWerkheiserは話す。

筆者はMOVERIOの第3世代モデルを実際に使用してみたが、軽い装着感や画像の鮮明さに魅了された。これまで試したスマートグラスの多くは、発色が悪くAR表示されるオブジェクトにフォーカスを合わせにくいものだった。また、装着可も快適とはいえないものが多い。

美術館や博物館向けにARを導入するのは、優れたビジネス戦略といえる。顧客の反応を見つつ、プロダクトを改善していける。また、美術館の側も来場者にARをアピールすることで新たな層を呼び込める。

「ARツアーの導入により、来場者の滞在時間はより長くなる」とWerkheiserは述べた。「類似した展示物が各地にある中で、ビジネス運営上で大事なのは他との違いを打ち出していくことだ」

MOVERIOのバッテリー持続時間は4-6時間程度で、23度の画角で映像が楽しめる。「画角をもっと広くすることも可能だが、扱うデータが大きくなるとバッテリーの消費も激しくなる」とエプソンのJenは話した。

MOVERIOのコンシューマ向けモデル「BT-300」は799ドルで販売されている。また、より機能を高めた「BT-350」は1399ドルで販売中だ。

MOVERIOとARtGlassによるARツアーは2月1日からバージニア州の米国5代大統領のジェームズ・モンロー邸で開始され、今春にはジョージ・ワシントン邸で開催される予定だ。

編集=上田裕資

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