「温める」ことの有効性
ただ、違いが確認された点もある。ホットヨガを行っていたグループには、常温でヨガをしていたグループ以上の体脂肪率の減少が見られた。熱が代謝機能に何らかの影響を及ぼしている可能性を示唆している。さらに、ホットヨガのグループは、総コレステロール値とLDL(悪玉)コレステロール値が若干ながら改善されていた。ただし、統計的に有意と考えられるほどの変化ではないため、偶然の結果と捉えることもできるという。
過去の研究でも、風呂に漬かることやサウナに入ることなど、温めることが(運動とは関係なく)心血管代謝の促進に一定の効果をもたらすことが分かっている。これは、ホットヨガをしていたグループに小幅ながらも変化があったことの理由を説明するものかもしれない。ただ、ホットヨガの効果に関する過去の複数の研究結果にはばらつきがあり、一致した見解が示されるには至っていない。
選択は「好み」の問題
ヨガに関するこれまでの数多くの研究によって示されてきたのは、色々な種類がある常温でのヨガは、その長い歴史の中でより重要な側面とされてきた精神・心理面での恩恵に加え、心臓の健康といった生理学上のメリットがあると考えられるということだ。
何があってもビクラムヨガを支持するという人たちは、デトックス効果など、高い室温でヨガをすることには他にも効果があると主張するだろう。だが、その効果を裏付ける証拠は、まだ十分には確認されていない。英レディング大学の研究者は、「ホットヨガが体を解毒したり浄化したりするという主張は根拠に乏しく、科学的に確かなものとは言えないと思う。解毒しているのは、腎臓や肝臓だ」と話す。
「ただ、たくさん汗をかきたいという人もいるかもしれない。どちらを選ぶかは、科学的証拠に基づく選択というよりも、個人的な好みによるものということになるだろう」