常温でのヨガより心臓の健康増進に役立つというのが、その特有の効果とされるものの1つだ。だが、ジャーナル「エクスペリメンタル・フィジオロジー」に先ごろ発表された新たな研究結果によると、心臓に好ましい影響の大半をもたらしているのは、室温の高さではないと見られることが分かった。
米テキサス州立大学の研究者らが行った調査では、運動不足ではあるが健康な40~60歳の参加者52人を募集。参加者を3分の1ずつの人数に分け、1つのグループには12週間にわたって毎週3回、摂氏40度ほどの室内で90分間のビクラムヨガのクラスを受けてもらった。ビクラムヨガの1クラスでは、26種類のポーズを取り、2つの呼吸法を行うことを2度繰り返す。
もう1つのグループには、常温の室内で同じ内容のプログラムを同様に行ってもらった。そして、コントロールグループとした人たちには、それまでの生活習慣を全く変えずに実験期間を過ごしてもらった。
コントロールグループ以外には「効果」
実験の開始前と終了後には、参加者の血管機能、身体組成、コレステロール値などを測定し、健康状態を確認した。その結果、実験終了後にはヨガを行った2つのグループで、血管機能によって把握できる心臓の健康状態に大幅な改善が見られた(コントロールグループには変化はなかった)。つまり、健康に効果的なのは高い室温ではなく、ヨガそのものだと考えられる。
研究チームは、「今回の調査で明らかになったことの中で大きな意味があると言えるのは、ヨガを行った中年成人のグループには室温に関係なく、内皮依存性血管拡張(血流量の増加による血管の拡張反応)に大幅な改善が見られたことだ。そして、その改善の程度にヨガを行う環境の影響はないと見られることだ。血管機能の改善をもたらしたのは主に、ヨガの26のポーズのシークエンスと、2つの呼吸法だと言えるだろう」と説明している。