IBMのCMOが切り開く「アジャイルマーケティング」の未来

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数億ドル規模の予算権限を持つペルソは、投資利益率(ROI)であれ、ネットプロモータースコア(NPS)であれ、評定基準を満たすことができるアジャイルチームのプロジェクトへの「投資」という形で資金を投入する。

アジャイルは運営システムであると同時に文化でもある。「何が問題なのかを明確にする必要がある。これは本当に重要。必要なのはツールや、技術指向であること、そして階層構造をやめること。中間管理職は進捗を遅らせがち。小さなチームごとに責任者を置くべきで、ヒエラルキーに邪魔をさせてはいけない。私たちは意思決定の際、長い時間がかかる古いウォーターフォール型手法はとらない」

アジャイルマーケティングでは、成功の定義を事前に決め、成果を測定する際の比較対象となる仮説を立てることが必要とされる。目標が明確であれば、創造力も開花する。

人工知能(AI)「ワトソン」を開発したIBMは、AI分野を代表する存在だ。ペルソは、これにより各企業のCMOの取るアプローチが、「感性」に頼るものから、より「科学」とのバランスが取れたものに変わっていくだろうと考える。

「今後得られるデータにはより深みが加わるため、顧客に対する理解を一変させることができる。私たちは、顧客とやり取りをする際、相手の声の調子、いら立ち、個性を理解できるようになる。それにより、より深みのある情報を得られ、より良い決定ができるようになる」

従来型マーケティングは複雑かつ垂直型で、費用も高い。長期の計画が必要で、実行方法も固定的だ。時代がデジタル商品やデジタル商品開発に移行したように、時代はより水平的なデジタルマーケティングへと進んでおり、試験のための仮説の変更や失敗のコストは大きく下がり、より大きなイノベーションを生む余地が生まれている。

IBMはアジャイルマーケティングを通じ、従来型の事前計画サイクルの破壊と、結果を出すために計測・蓄積された実験データに基づいた素早いイテレーションを実現できるのだ。

編集=遠藤宗生

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