ビジネス

2018.02.13

シリコンバレーに学ぶ、「起業家とメンター」の理想の形

Dusit / shutterstock


最後にHOW。相談上手と相談下手では、まさに雲泥の差です。そこで大事なのは問題意識とタイミング。相談されたが、もっと早く言ってくれたらと思うことは少なくありません。例えば金策に詰まってからの相談では、手遅れで打つ手がない。逆に、出資・提携の提案を受けてすぐ素直に話してくれたおかげで「それでは乗っ取られる可能性が高い」と断り、事なきを得たこともあります。

同時に、聞き上手になることも重要です。主張や承認欲求が強く一方的では、相談もなにもあったもんじゃありません。他人が何と言おうと信じた事業を追求するのが起業家精神であるとはいえど、聞く耳を持たないのは大きな損です。

メンター使いの上手な起業家とは?

メンターと起業家の関係には、決まった形はありません。例えば、筆者はイベントでRettyの武田和也社長と立ち話した時、彼の問題意識に反応して、ボーリングピン戦略というマーケティング理論を数分間アドバイスしました。後日ばったり会ったとき、それが役に立ったと話してくれました。ほかにも、イベント会場で相談を受け、その場で「この人に話を聞くといい」とつないだことも数多くあります。

一方で、緊密な関係が大切なこともあります。筆者があるスタートアップの売却のヘルプをした時は、短期集中で密なチームワークでM&A成立にこぎつけました。

連載第2回に登場している勝屋久氏は、アカツキ(塩田元規社長)の社外取締役として長期的に良きメンターとなっており、ふたりは個人的に旅に出るほどの仲です。筆者も、当時20代のシリウステクノロジーズ宮澤弦社長(現ヤフー常務執行役員)のメンターとなり、今では18歳差の親しい友人となっています。

江戸時代の幕府に使えていた剣術家、柳生家の家訓に「小才は縁に逢って縁に気づかず、中才は縁に逢って縁を活かさず、大才は、袖すり合うた縁をも活かす(才能のない人は縁に気づかない、ほどほどの才能の人は、縁に気づいても活かせない、才能溢れる人は、袖が触れ合う程度の縁もチャンスにかえる)」と、「縁」について愚者と賢者の違いを説いていますが、起業家とメンターも同じです。

一期一会でも生涯の友でも、尊重し合い、本音で付き合える縁をつくりたいものです。

文=本荘修二

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