ビジネス

2018.02.13

シリコンバレーに学ぶ、「起業家とメンター」の理想の形

Dusit / shutterstock


間違いだらけのメンターと起業家

米国に比べてメンターの歴史が浅い日本では、なかなかこうはいきません。とくにマズい例を紹介してみましょう。

・なんちゃってメンター
スタートアップやビジネスの理解や経験が浅く、誤った助言をするメンターがいます。名のある組織がやっている育成プログラムや、新聞に載っているような人でも、こういう例はあります。助言も鵜呑みにしてはいけません。

・恐ろしやメンター
メンターが大株主になって資本政策が狂った例や、1円も出さずに大きな持ち分を取る人もいます。私利私欲が強く、スタートアップをダメにしてしまうメンターには気をつけましょう。

そもそも日本では、メンターの人材不足が背景にあります。それに、米国では失敗談をブログにあげたりして情報はかなり透明性がありますが、日本ではマズい話は他人に伝えない。だから、同じ失敗が繰り返されます。

では、メンタリングを受ける起業家の側はどうでしょう? こちらにもマズい例があります。

・頼りすぎ起業家
メンターを頼って、言うことを聞きすぎる人がけっこういます。有名人の助言を過剰にありがたがる人もいます。でも、鵜呑みして失敗したら、それは起業家の自己責任なのです。

・とんでも起業家
メンターから見て「勘弁してくれ」と言いたくなる勝手な起業家がかなりいます。自分の事業をロクに説明できない、尋ねたい点がはっきりしない、こういう人はメンターのところに何をしに来たかわかりません。人を紹介したら、とんでもないミーティングをして相手が怒ったこともあります。

これはけっして学生や若い人の話でなく、立派な大企業出身の人がやってくれるんです。とにかく起業家は度を越してメンターに甘えないことですね。

日本の起業家はどうすればよいか?

では、起業家はどうすればよいのか。WHY、WHO、HOWを明確にさせておくことをお勧めします。

まずはWHY。なぜ、何を目的にメンタリングを受けるか、これをはっきりさせること。すると、どんなメンターを求めるか、どんな関わり方を持つかも、見えてくるはずです。

次に、WHO。育成プログラムなどで与えられたメンターだけでなく、自らメンターを見つけてリーチアウトする。その際、相手がメンタリングしたくなるよう努めることも大切です。嫌なヤツにはやる気がしません。

例えば、福利厚生サービスを展開するFond創業者の福山太郎さんは、苦心惨憺してYコンビネーターのプログラムに入り、顧客ニーズを問いただす厳しいメンタリングを受けたことで当初の事業をあきらめて起業。今や米国トップシェアの企業となっています。
次ページ > 相談上手になるためには?

文=本荘修二

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事