小暮:HPを見ると、彼の会社で禁止されていることは「残業」だそうです。「個人の生活や魂と肉体のバランスを保つための休息の時間を侵すことはあってはならない」と書かれています。「工場で働く人たちには終業後のメール、SNSでの連絡もしないようにしている」とも。やはりこんな会社、そうそうありませんよ。
森岡:買った側からすると、自分が払ったお金が世の中に流れていって役に立っているというのは、本当にうれしいことです。
小暮:“買って幸せな気分になれる”ブランド、これがブランドものを買う神髄だと思いますが、買う側だけでなく、服をつくっている側にも幸福感をもたらすブランド。ファッションの仕事をしている我々にとってもとてもいい話だと思いますよ。
森岡:本当にたくさんのストーリーをもった服と言えます。最後にサファリジャケットの話ですが、「クチネリカラー」と私は呼んでいますが、このベージュのようなグレーのような中間色がいいですね。微妙なトーンがセンスよく見せてくれます。彼の場合はこのジャケットだけでなく、どれもこうした中間色で着こなしをまとめることもポイント。でも着こなし方は意外にアグレッシブ。それでもソロメオ村の自然に由来する色が上品に見せてくれる。
小暮:大人のカジュアルに参考にしたいコーディネイションではないでしょうか。
森岡 弘◎『メンズクラブ』にてファッションエディターの修業を積んだ後、1996年に独立。株式会社グローブを設立し、広告、雑誌、タレント、文化人、政治家、実業家などのスタイリングを行う。ファッションを中心に活躍の場を広げ現在に至る。
小暮昌弘◎1957年生まれ。埼玉県出身。法政大学卒業。82年、株式会社婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。83年から『メンズクラブ』編集部へ。2006年から07年まで『メンズクラブ』編集長。09年よりフリーランスの編集者に。