米国では同月中旬にも、病院や医療保険会社などを運営する非営利組織のインターマウンテン・ヘルスケアが、医薬品不足の解消と値下げの実現を目的に、非営利のジェネリック医薬品会社を新設すると発表。大胆な行動に出たと受け止められていた。
目標は低コスト化とケアの充実
3社は医療に関する従業員の満足度の向上と、コストの削減を目指して提携する。新会社がまず取り組むのは、テクノロジーを通じて妥当なコストで実現するヘルスケアの簡素化と、質と透明性の向上だ。
バークシャー・ハサウェイを率いる著名投資家のウォーレン・バフェットは自国の医療制度について、次のような見解を示している。
「膨れ上がる医療費は、米経済にはびこる飢えた寄生虫のようなものだ。私たちがこの問題に答えを出すことはないだろう。だが、私たちはこの問題を、避けられないものとして容認することもない」
「私たちは、米国の最高の人材が行い得ることを支援するために3社のリソースを活用することでコスト増大に歯止めをかけると同時に、患者の満足度や治療の結果を向上させることは可能だとの考えを共有している」
また、従来の解決策を見直すことは、新会社の戦略には含まれていないと見られる。アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は複雑なこの問題について、新しい考え方で将来を見据えるべき時だと考えているようだ。
「医療制度は複雑だ・・・難しいかもしれないが、医療費が米経済にかける負担を軽減すると同時に、従業員とその家族の治療の結果を向上させることは、力を注ぐ価値のあることだと言える。これを成功させるためには、才能ある専門家と初心者の心、長期的な方向性が必要となる」
テクノロジーで問題を解決
少なくとも3社の発表文によれば、新会社がまず焦点を当てるのは、テクノロジーによるソリューションだ。この点について、文章の冒頭で言及している。だが、これには「(妥当な)コストで」という注意書きが添えられている。
米国の医療制度に関する現在の議論と3社の行動に影響を及ぼしているのが、経済であることは間違いない。テクノロジーが鍵を握るソリューションとして挙げられている中で、コストと価値について詳細に検討した結果、イノベーションにかかる圧力はどれほどのものになるのかと疑問に思う人もいるだろう。
医療テクノロジーにおける大胆なイノベーションには、コストがかかるものだ。だが、最終的な分析においてその費用は、お金の問題を超えた大きな価値を生む可能性がある。最も重要なのは、テクノロジーが医療におけるイノベーションとコスト削減において重要な役割を果たすことだ。そして、それらのイノベーション自体が、現在のコスト重視の姿勢の犠牲にならないことだ。