ビジネス

2018.01.31

ミレニアルピンク一色の「ティー専門店」は、 なぜ日本進出を決めたのか?

ALFRED TEA ROOM 青山本店




ジョシュアはこう続ける。

「そうした場の象徴として、ふさわしい色は何か……。いろんな選択肢を考えた結果、出てきた答えがミレニアルピンクだったんだ。この色には、フェミニンでありながら自分の意志で生き方を選択する自由でアクティブな女性をイメージさせる力があると思ったし、そんなミレニアルピンクに彩られたお店を作ったら、面白いチャンレンジになるな、と」

そうしたジョシュアの考えに、時代が追いついてきた。全世界の女性たちが日常でインスタグラムを当たり前のように使い、日本でもフォトジェニックやインスタ映えといった言葉が生まれた昨今、見た目の良し悪しは、アパレルのみならず、飲食店を選ぶ際も御多分に洩れず重要な指標となっている。そのインスタグラムこぞってポストされている象徴的なカラーは、ミレニアルピンクだ。

そんな時代の流れも相まって、前述の通り、店舗の内装だけでなく、ドリンクのパッケージからドリンクまで、全てをミレニアルピンクで統一している。

また、彼らは1号店のオープンにあたって、ブランディングにもこだわった。インスタグラムのアカウントを開設し、定期的に画像を投稿。その際、ティー専門店のアカウントであることは公言せず、ミレニアルピンクに関する写真のみを投稿することで女性を中心にオープン前から話題を集めた。

あらゆる所にミレニアルピンクを使い、戦略的にインスタグラムのアカウントを運用することで、「ミレニアルピンク=アルフレッド ティー ルーム」というイメージが出来上がり、結果的に女性から支持を集めることとなった。

なぜ、2号店の出店先を「日本」にしたのか?

セレブリティも足繁く通うことからLAでの知名度を高めていったアルフレッド ティー ルームだが、オープンからまだ1年あまり。立ち上げから日が浅いにもかかわらず、次なる展開先として日本を選んだのはなぜか。

「アルフレッド ティー ルームは“特別な空間”として考えており、無理に拡大せず、じっくり育てていくつもりだった」と語るジョシュアの考えを変えさせたのが、「WIRED CAFE」や「銀座大食堂」「伊右衛門サロン京都」など、国内外で100以上のカフェやダイニングの企画・運営や商業施設のプロデュースなどを手がけるカフェ・カンパニー、楠本修二郎CEOだ。

同社は兼ねてから計画していた「お茶文化の生活提案」という企画に向けて、「ティー専門店」という、新たな店舗運営案を着想。その視察も兼ねてLAを訪れたときのことだった。



楠本がLAの街を歩いていると、目に留まるものがあった。ミレニアルピンク一色で統一されたアルフレッド ティー ルームだ。

「もともとアルフレッド ティー ルームに関して話は耳にしていました。実際に店舗に足を踏み入れたとき、店舗デザインから商品まで全てにおいて、既成概念にとらわれずこらからの時代の新しい価値を提供していると思いました。クリエイティブセンスはもちろんですが、人々のインサイトを深く掘り下げて、店を起点として街のキャラクターを創っていくという視点、そして、様々なライフステージの女性が活躍する現代社会において“ティー”を提案する意味を感じたのです。アルフレッド ティー ルームと協業すれば、“ティー”を架け橋に日本と世界が繋がり、新たな文化を創造できるのではないか、と。すぐさま、そんな考えが頭に浮かんできました」

楠本はスマートフォンを手にとると、その場でアルフレッド ティー ルームに交渉のアポを入れたのだ。相手が交渉に応じてくれる保証はもちろんない。

そんな楠本からのメールを受け取ったのが、アルフレッド ティー ルームでビバレッジディレクターを務めるジョーダン・ジー・ハーディンだった。彼は送られてきたメールに返信し、トントン拍子で交渉の場が設けられることになった。初めて交渉を持ちかけたのは、LA本店がオープンして4カ月。まだ業績すら公開していなかった時期だが、「僕たちと同じで新しいお茶の文化をリアライズしようとしているのだから、迷いは一切なかった」と楠本は語る。
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文=野口直希 写真=大崎えりや

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