新料金は、新規会員に対してはただちに適用されるが、既存のプライム会員と学生会員には2月18日以降に適用される。プライム会員の特典には、1億点以上の商品が対象の無料の2日以内の配送サービス、音楽が聴き放題の「プライムミュージック」、映画やテレビ番組が見放題の「プライムビデオ」、写真のクラウドストレージなどが含まれる。
現段階では年会費は一般会員が99ドル、学生会員が49ドルで据え置きとなっている。月額での支払いの場合、年間で支払う額は一般会員が160ドル、学生会員が78ドルとなるため、年会費を一括払いするプランの方がはるかにお得ということになる。
しかし、筆者が所属する調査会社「Atherton Research」は、アマゾンが今後数か月以内に年会費についても値上げすると予測する。新料金は、年会費が119ドルと20%値上げになると思われる。アマゾンプライムの値上げは4年ぶりのことだ。
アマゾンがなぜ値上げを行うかといえば、「それが実行可能だから」というのが最も簡単な答えだろう。仮に年会費が119ドルではなく、160ドルや200ドルに値上げされたとしても、まだまだお得な価格だ。
アマゾンで販売されている商品の価格は、伝統的な小売店よりも安いことに加え、2日以内、早ければ当日に手元に届くため、店舗に出向いたりレジで並ぶ手間が省ける。さらに、プライムミュージックやプライムビデオ、プライムフォトなどのデジタルサービスが受けられるメリットは大きい。
財務体質を強化しさらなる投資を
このように、アマゾンプライムは価格の安さと品数の豊富さ、利便性、サービスが組み合わさった最強のオンラインサービスだと言える。
今回の値上げは、アマゾンにとって財務面で大きなメリットがある。2018年の売上高と利益は大幅に増え、株価はさらに上昇するだろう。アマゾンのP/Eレシオ(Price Earnings Ratio=株価収益率)は300倍と、S&P 500の構成銘柄の中で最も高い。財務体質が一層強化されることにより、M&Aを通じて物流機能やコンテンツの強化、新たな垂直展開などに再投資できる。
他国のプライム年会費は、109.5ドルの英国を除けば米国よりもはるかに安い。例えば、ドイツとオーストリアは約85ドル、カナダは約63ドル、フランスとオランダ、ベルギーは約60ドル、日本は約35ドル(3900円)、イタリアとスペイン、メキシコは約25ドルとなっている。
これらの地域でも、プライム会員特典には無料配送やデジタルサービスが含まれるが、著作権上の理由で地域によって視聴できるコンテンツに制限が設けられている。