数字で読み解くファッション業界の現在


ところで、一歩引いて国内のEC・ネットサービス全体を俯瞰的に見ると、現在は、楽天、アマゾン、YAHOOといった勝ち残りガリバーによるパワーゲームのステージに入りつつある。

2013年にはYAHOOがヤフーショッピングの出店料を無料にしてまでシェアを取りに行ったが、現在は各社があらゆるサービスを通じて、ポイント付与や値引きを駆使してユーザーと出店者の取込みを図っている。すなわち、総合系プラットフォーマーの戦いは、既に体力や規模で勝負する最終局面に入っているとも言える。

このような中で、現在プラットフォーマーの巨人たちの戦いがファッション領域にも及びつつあり、迎え撃つアパレル専業のスタートトゥデイは強力な対抗策が必要とされているのである。スタートトゥデイは、ZOZOTOWNに加えてWEARやZOZOUSEDといったサービスを付加することで、消費者のアパレル消費行動全体をカバーし、独自のエコシステムを築き強みを磨いてきた。

これに今回のZOZOSUITによる消費者の体型データを加えることで、自社ECや総合型プラットフォーマーでは提供できないユーザー体験を提供し、アパレル特化のプラットフォーマーとしての価値を高めることが本当の狙いだろう。

消費者から見ると、例えばZOZOTOWNを使うとあらゆるブランドのサイズの違いと自分のサイズを考慮してくれるのでサイズを間違えない、購買時にフィット感がきめ細かく分かる、しかも要らなくなった服は買い取りサービスで買い取ってくれるので便利といったZOZOTOWNにしかないサービスを享受でき、ますますZOZOTOWNというプラットフォーム、エコシステムへの依存度が高まることになる。

しかし、現在スタートトゥデイはZOZOSUITの量産に手間取っており、今回の取り組みが狙い通りいくかはまだ未知数だ。昨年末の発表で世間の期待値が高まっているだけに、PBのリリースが大幅に遅れたり、消費者の想像を下回るとブランドイメージにネガティブに働く可能性はある。

そんな中、最大の脅威であるアマゾンは、消費者の期待値を上回るための研究開発投資をアパレル領域においても着々と進めている(しかも、スタートトゥデイや楽天のように利益の一部を配当にまわさず、未だ無配当で研究開発投資を続けているのだ)。

このようにファッション以外の強みを活かして攻めてくる楽天、アマゾンのような総合系プラットフォーマーと、迎え撃つアパレル特化型のプラットフォーマー スタートトゥデイの対決は、今後目が離せないトピックである。個人的には、国産では現状数少ないファッションテックの成功企業であるスタートトゥデイには、是非頑張ってもらいたいところだ。

文=福田稔

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