先日、中国当局は海外の多国籍企業に対し、台湾の位置づけについてクレームをつけた。新華社通信の報道によると、中国当局はマリオットホテルグループがウェブサイト上の顧客向け検索機能において、台湾を一つの国として扱っていることを問題視し、是正を求めた。
上海市の当局もデルタ航空や米医療機器メーカーのメドトロニック、ファッションブランドZaraに対して同様の要求を行ったと報じられている。
中国メディアによるとこの4社は当局の修正要望に応じ、デルタとマリオットは謝罪文も公表した。台湾を国として扱っている他の企業も今後、中国政府から要望を受けて、あるいは自主的に情報を訂正するだろう。
中国の知的財産権を専門とする弁護士、ダン・ハリスは「ほとんどの企業は中国に配慮して情報を修正するだろう。そのことで台湾でのビジネスに影響が出るとも思えないわけだから」と語る。
中国は台湾を国家でなく自国の一部と位置づけ、台湾に圧力をかけ続けているが、台湾は1940年から独立政権を有し、30年にわたって民主制を敷いている。航空会社やホテル、その他の民間企業の多くはウェブサイトで台湾を一つの国として分類している。一方で、香港やマカオは中国の一地域に分類されていることが多い。
中国政府は既に他のエアラインにも再チェックを行うよう警告し、オーストラリアのカンタス航空は、台湾を国のリストから外した。
他の企業もこれらの動きに追随するだろうが、台湾の人々や他の顧客からの「中国政府の圧力に屈した」との批判を避けるため、変更は静かに行われるだろう。台北本拠の投資企業「Peace Field」のJohn Brebeckは「企業らにとっては悩ましい問題だが、中国政府とこの件でやり合っても彼らにはメリットがないのが現実だ」と話した。