ジョンは家族と過ごす時間を優先するため、ツアー活動から身を引くことに決めたのだという。最後のツアーは今年9月から始まり、3年間で300公演を予定している。
エルトン・ジョンのラストツアーは音楽史上に残る壮大なものになりそうだ。フォーブスの試算では今回のツアーの総売上は4億ドルを超えることになる。
業界誌「Pollstar」のデータによると、ジョンは現状で1公演につき140万ドルを売上げている。300回のアリーナ公演を行うと仮定すると、トータルで4億2000万ドル(約460億円)のチケット売上が生まれる。もちろん、今回が最後ということになればチケットの値上がりも想定され、5億ドルに達する可能性もある。
「Farewell Yellow Brick Road」と題された今回のツアーは、史上最も稼いだツアーランキングの上位5位圏内に入ることは確実だ。
これまでの記録としてはU2の「360」ツアーが1位で売上は7億3600万ドル。2位はローリング・ストーンズの「A Bigger Bang」で5億5800万ドル。3位はコールドプレイの「A Head Full Of Dreams」で5億2300万ドル。4位がガンズ・アンド・ローゼズの「Not In This Lifetime」で4億7500万ドル(現在も継続中)。5位がロジャー・ウォーターズの「The Wall Live」で4億5900万ドルとなっている。
ジョンは2017年に6000万ドルを稼いでいたが、今回のラストツアーからも莫大な収入を得ることになりそうだ。ジョンの取り分は通常のポップスターと同様に、総売上から運営コストを引いた額の約3分の1と見込まれる。今回のツアー経費を1億5000万ドルと仮定した場合、彼の取り分は8000万ドル程度になりそうだ。
ただし、ジョンはツアー活動からはリタイアするが、歌手活動を完全に停止する訳ではない。「私は死ぬまでクリエイターでありたい。やり残していることはいくらでもある」とジョンは語った。
2021年に北米でのツアーを終えた後、ジョンは新たな楽曲やミュージカルの制作なども視野に入れている。また、将来的にはツアーを伴わない特定の会場での連続公演の開催もあり得るという。
さらに、彼はVR(仮想現実)バージョンのエルトン・ジョンがこの先、世界ツアーを行う可能性についても冗談まじりに話した。
「私自身はホログラムになった自分がツアーをやる未来なんてごめんだと思っている。でも、先の事は誰にも分からない。子供たちが一文無しになって、VRバージョンのエルトン・ジョンをステージに引きずりだす未来がやってくるかもしれないな」と、ジョンは肩をすくめて話した。