1月24日の発表文によると、昇給の実施は今年4月の予定。対象となる従業員は、15万人以上だ。2億5000万ドルのうち、およそ半額となる1億2000万ドルを昇給に充てるほか、生計調整も実施する。
同社はさらに、年初時点で米国内の店舗、工場、サポート・センターに勤務していたフルタイム、パートタイムの従業員を対象に、1億ドル超に相当する株式を付与する。対象者には、月給ではなく時給制で働く従業員も含まれる。小売店の場合は全ての従業員に少なくとも500ドル、店舗マネジャーには2000ドル相当の株式を付与。小売店以外に勤務する従業員は、年収や職務レベルに応じて決定する。
そのほか同社は店舗の従業員を対象に、育児休業制度の拡充を図る。新制度の下では、養子縁組をした従業員にも最長6週間の有給休暇を取ることが認められるようになる。
これらに先立ち、同社は米国内の店舗の改装や工場の改修、テクノロジープラットフォームの改良に向こう5年間で約70億ドルを充当する計画を明らかにしていた。また、米国内では恵まれない生い立ちの人たちへの機会提供に力を入れる方針も維持する考えだ。
同社のケビン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は従業員宛ての書簡で、業界最高水準の包括的な医療給付制度や年金制度のほか、大学の学費支給制度などを引き続き提供していくことを約束。「従業員に投資することは、われわれが長期にわたって維持してきた戦略だ」と述べている。
ロイター通信によれば、クレディ・スイスのアナリストは同社の納税額が世界全体で、利益の33%から25%程度に引き下げられる見込みだと推計している。これにより、同社の納税額は4億ドル以上減少する見通しだという。