無意味で侮辱的な人事評価、企業がいまだに続けるのはなぜ?

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2. 目的が不明確。従業員は自分の評価を通じてパフォーマンスを自己認識できると言う人もいるが、果たしてそうだろうか? あるいは昇給の根拠になると言う人もいるが、そのために人事評価は必要ない。

解雇が必要なときの参考にするという声もあるが、成績の芳しくない従業員には「やる気を高めるため」として上司から平均~良の評価が与えられることがほとんどなので、参考にはならない。人事評価で達成したいことは全て、他の方法でも達成できる。

3. 不公平なため。企業は5~10段階評価など、厳格な評価システムを作るが、人事評価の最大の問題はマネジャーによる評価基準の大きなばらつきであり、こうしたシステムでは解決できない。また、年初よりも最近の出来事や成果が重視されがちで、上司の先入観も影響する。

4. 侮辱的なため。グラフィックデザインやマーケティング戦略、ソフトウエア開発の担当者を雇った場合、プロジェクトや上司である自分との関係性については議論できるし、従業員の勤務態度に関する不満は伝えても良い。しかし、社員の仕事のやり方や生き方に口を出すべきではない。

人事評価を行うと、監督者の立場の方が上だという古めかしいばかげた考えが強くなる。しかし、現代の監督者はオーケストラ指揮者のようなものだ。楽団をまとめつつも、各音楽家の奏法にとやかく口を出す権利はない。

5. 全ての事業プロセスには、明確な目的と目標とする成果が必要だ。この2つがなければ、忙しい日々の仕事にそのプロセスを組み込む意味がない。人事評価はこのどちらも備えていない。会社には「来年の人事評価で達成したいことは、これです」と言える人もいないだろう。指示する立場の人を従業員に再認識させる、昔からの慣習を続けるということ以外、人事評価を通して達成できることはない。

同僚のマネジャーや従業員と話し、人事評価についての意見を探ろう。良く思う人がいなければ、「人事評価を続けたい人はいませんでした」とジェイクに伝える。

「これを機に、会社の能率化と費用の節約を図り、チームへのフィードバックを改善しましょう。企業文化を、指揮統制の古めかしい管理手法から現代的なリーダーシップに変革するチャンスです」と話す。

大半のマネジャーは、従業員と同じように変化を恐れている。CEOも例外ではない。ジェイクには、試しに今年は人事評価制度をやめて、組織に悪影響があるか見たいと話そう。同制度の採用をやめた他の企業と同様、結果には大いに満足できることだろう。

翻訳・編集=出田静

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