「マニアックさ」に惹かれる? 広まる新たな消費者願望

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マニアを有名にする2つの存在

その裏には、「マニアック」を「有名」にする存在がいます。情報収集能力に長けた感度の高い層を指す「アーリーアダプター」という言葉がありますが、いま、職業として情報に近い人(いわゆるメディア関係者)ではない、そのアーリーアダプターがここに介在するようになっているのです。

このアーリーアダプターは、「アーリー」という言葉が象徴するように、情報を得る「早さ」が特徴の高感度層。数年前に盛んだったブロガー、最近のインスタグラマーのようないわゆるインフルエンサーが増えたことで、その層が広く、厚くなりました。情報収集力が高く、かつ発信にも余念がない。マメにマニアの情報をインプットし、世の中へ広く届ける一役を担っています。

しかし、最近では情報の早さだけでなく「深さ」も感度の高さを表す指標になりつつあります。というのも、以前はファッションや食など、より一般的かつニーズの高い分野での知識が評価されやすかったのに対し、今や人々の興味が全方位に広がり、ニッチな分野や意外な分野でもマニアが評価され、力を発揮しやすい流れが生まれているからです。

例えば、TBSのバラエティ番組「マツコの知らない世界」は、その流れの象徴的な存在。毎週、ある分野に人生を捧げたスペシャリストがゲストとして登場し、その世界の魅力を熱弁するのですが、廃墟マニア、左利きマニア、水鉄砲マニア、ポン酢マニア……その多種多様さを実感させられます。こうした番組が生まれ、人気を博している様子からも、特定の世界に知見のある「マニア」が脚光を浴びていることが見てとれます。

まさに、マニアックの大衆化。SNSが変えたのは、発信する側だけではありません。受け取る側も、知られざるマニアの世界、こだわりの技術、隠れた名店に、より簡単にリーチできるようになっています。

「今週末はコーヒー、来週末は古城……」なんて、マニアの世界をつまみ食いもできる時代。あなたも、覗いてみませんか。意外なきっかけになるかもしれません。

文=山田茜

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