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経済を動かす「女子」の秘密

Happy Together / Shutterstock.com

少し前の話になりますが、昨年の11月12日、あるツイートが4万9000件を超えるリツイート、9万3000件を超える「いいね」を記録。女子の間に「断面図萌え」というバズワードを生みました。

そのツイートというのは、伊勢丹新宿店が作成したクリスマスケーキのカタログを紹介するもの。そこには見開きいっぱいに、ケーキ全種類の“断面図”が並んでいて、担当者の思い入れの強さが話題になりました。

この状況から改めて感じるのは、買い手は今「作り手のマニアぶり」に惹かれているということです。作り手のこだわりは単純にクオリティの高さとも解釈できますが、今、少しいきすぎた「マニアックさ」が購買における強力な動機づけになっています。作り手のマニアぶりへ敬愛の高まりとともに「売り手市場」が形成され、そのこだわりが伝われば、買い手は多少行列に並んでも、不便な場所でも、時間を調整しても、買いに行く。

その現象は全国津々浦々で見られます。例えば、佐賀県佐賀市にある「よなよな」は、夜間のみ営業するあんこ屋さん。毎晩フェイスブックで準備の様子をリアルタイム中継し、日替わりでその日の開店時間が決定します。23時に「23時10分開店」を知らせるなんて日もありますが、それでも、寒い冬でも、外に常に行列ができるといいます。

また東京・白金高輪にある「パティスリー リョーコ」は、完全前払い制のスイーツ店。生クリームや生地の贅沢な味わいや見た目の美しさが話題を呼び、閑静な住宅街にあまりの行列ができるため、今はWEB上で受け取り日時を予約して前払いを完了した人にだけ渡される仕組みになっています。



売り手の哲学と質の追求が伝わると満足する。そんな買い手が増えています。一度惹かれたらファン化する人も多く、営業時間の短さや商品ラインナップの少なさなど、売り手の「こだわりゆえの都合」はむしろ歓迎。はたから見れば「振り回されたい願望」を持つ買い手を生んでいます。

確かに「こだわりの店」は昔から特別な価値を持っていますが、かつては「知る人ぞ知る」だったその存在の定義は、少し変わってきているように思います。SNSの普及とともに、マニアックなものがより多くの人に伝わるようになり、それは実質マニアックでなく、「有名」とくくれるものになる。さらに、そのスピードが加速しているのです。

文=山田茜

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