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運転中に携帯を手にしてメールや会話をしてはいけないことは誰もが知っているが、運転しながら仕事について考えたり、高速料金を払う小銭を探したり、さらには昼食を取ったりしている人はどれくらいいるだろう?

「ながら運転」が完璧にできていると感じても、実際には運転だけに集中しているときと比べてはるかに危険であることが、研究結果から明らかになっている。では、運転中ではなく仕事中はどうだろう?

一昔前までは、従業員へのマルチタスク推奨は賢くて称賛すべき戦略だと考えられていた。従業員がより多くの仕事をこなす機会を逃す経営陣や管理職などいないだろう。だが実は、マルチタスクのメリットは理論上でしか存在しない。現在、賢明な企業はマルチタスクが生産性を阻むことに気づき、代わりに一つの仕事に集中するメリットに注目している。

マルチタスクに関する誤解

大成功を収める人は、その秘訣(ひけつ)は一つのことに集中できる能力にあると考えている。関心を傾けるタスクを次から次へと変えず、一つのことを始めたら安定して継続するのだ。作業をただ完了するのではなく、技を習得し、完成度の高いものを作り上げる。

マルチタスクというのは実のところ、複数のタスクを行ったり来たりして一度に100%の関心を向けられていない状態だ。複数の業務を同時並行しながら得た情報は、脳によって新たなスキルの単純習得として保存され、定着しない可能性がある。

しかし一つの学習事項にのみ注力すれば、脳の長期記憶をつかさどる部分が活発に活動するようになる。そうすれば記憶は長期間保持され、将来思い出しやすくなる。

米科学誌ニュー・アトランティスの上級編集者クリスティーン・ローゼンは、2008年に同誌が掲載した記事「The Myth Of Multitasking(マルチタスキングに関する誤った通念)」で、一つのことに集中したときよりもマルチタスクを行うときのほうがストレスホルモンが放出されやすいと述べている。ストレスホルモンは不安や不快感を生むだけでなく、短期記憶も悪化させ、いくら努力しても情報が保持できなくなる。

多くの人は、マルチタスクを行えば短時間で多くの情報を詰め込み、さまざまなことを達成できて便利だと考えている。タスクを同時に2、3個手がけても、それぞれに100%の力を向けられると勘違いしているのだ。しかし先述のように、2つ以上のタスクに同時に100%の力を出すことは不可能なので、これは全くの見当違いだ。

編集=遠藤宗生

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