ソニー製TVが取り組む新映像規格「ドルビービジョン」の難題

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ソニーがようやく2017年1月にした約束を果たした。同社のハイエンド・テレビがHDRのDolby Vision(ドルビービジョン)対応となるファームウェア・アップデートを提供し始めたのだ。これは素晴らしいニュースだが、詳しく見てみると残念なアップデートであることが判明した。

今回のアップデートではHDMI経由ではDolby Vision動画を再生できないようなのだ。つまりDolby VisionをサポートするOPPOの4Kブルーレイ・プレーヤーや「Apple TV 4K」からはソニーのDolby Vision対応テレビに出力ができない。さらにはUSB経由の再生にも対応していないようだ。

今回のファームウェア・アップデートがサポートしているのはネットフリックスなどのビルトインのアプリのみと見られる。

非難の声があまりに大きかったために、ソニーはアップデートの説明文からDolby Visionに関するものをすべて削除した。また、未確認情報ではソニーは、今回のDolby Vision対応機能を削除したアップデートを発表したとの説も流れている。

筆者はソニーに説明を求めたが、今のところコメントは得られていない。

以前にソニーから得た情報を見る限りでは、X940EやX930E、A1E、Z9DではHDMIとUSB経由でのDolby Visionの再生に対応できるはずだ。しかも、2017年12月に筆者はソニーの有機ELテレビで、USB経由でDolby Visionを再生するデモを確認していた。

他に考えられる要因としては、Dolbyが発表したDolby VisionのHDMI経由の再生におけるバグ修正を行うまで、ソニーがHDMIへの対応を見送っているということだ。

ソニーから得た情報から考えられる最も可能性の高い原因は、ソニーのファームウェア・アップデートが新バージョンのDolby Visionをサポートしており、旧バージョンのDolby Visionに対応している機器を使おうとしても互換性がないということだ。

もしそうであれば、Dolby Vision動画のソースとなる機器のファームウェアを最新のものにアップデートすることで問題は解決するのかもしれない。それでも駄目な場合は、OPPOやアップルなどが最新のDolby Visionに対応するのを待ってみるしかないだろう。

編集=上田裕資

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