韓国が禁止しても「仮想通貨市場は崩壊しない」と言える理由

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仮想通貨の価格は、この数日間で全体的に暴落した。その大きな要因は、韓国政府が仮想通貨取引の規制を強化すると発表したことだ。韓国市場の不確実性が高まる中、投資家たちは仮想通貨の将来性を見極めようと躍起になっている。

仮想通貨の最大の魅力は、中央機関に依存しない非中央集権的な仕組みにある。リップルのXRPのように、完全に非中央集権型ではないものもあるが、そうした仮想通貨の人気も高い。仮想通貨は非中央集権化により国家から完全に独立した通貨として機能することが可能だ。

「CIAワールドファクトブック」によると、韓国の人口は5120万人で世界人口の0.67%に過ぎず、仮想通貨市場の規模はさらに小さい。確かに、韓国の取引所が扱うトレードの量は大きいが(特にイーサリアムについては)、取引きが禁止されても投資家は資産を韓国の外に移動させることが可能だ。

非中央集権化は、政府が仮想通貨市場を管理することを困難にする。仮想通貨はP2Pでの送金が可能なため、政府が取引所の閉鎖や規制を行っても、人々は個人間で取引きを行い、トランザクションを分かりにくくすることができる。

このため、仮想通貨を完全に取り締まることは不可能ではないとしても、非常に高いコストが掛かることになる。仮想通貨の取引きが法律で禁止されている国では、こうした行為は違法だが、かつて企業がビットトレント(BitTorrent)を禁止しようとした頃と似た状況が生じるだろう

P2Pネットワークであるということは、グローバルであらゆる人が相互にコミュニケーションを図ることが可能であることを意味する。一部のノードが接続できなくなっても、ネットワークの運営には支障がないのだ。

暴落を引き起こした2つの要因

韓国のニュースが仮想通貨市場の暴落をもたらした背景には2つの要因が考えられる。

1. 経験の浅い投資家が、韓国政府の発言が仮想通貨市場全体に与える影響を理解せず、売り時を逃すことを恐れて資産を一気に売却した。
2. プロ投資家らが利益確定のためにストップ・ロス・オーダーを行い、結果として市場の暴落を招いた。

韓国が単独で仮想通貨による社会の変革を止めることは不可能だ。非中央集権化は多くの投資家にとって魅力的な仕組みであり、仮想通貨を完全に規制できなくしている要因でもある。韓国発のニュースは、仮想通貨市場に大きな影響を与えたが市場がリバウンドするかどうかは時が経てば分かるだろう。

情報開示:筆者はビットコイン及びリップル、イーサリアム、その他のアルトコインへの投資を行っている。

編集=上田裕資

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