ビジネス

2018.01.23

「未来の自動車づくり」を牽引 AZAPAが起こすイノベーション

みずほ賞を受賞したAZAPA 近藤康弘CEO。12月1日に開催されたJAPAN'S START-UP OF THE YEAR 2018にて。

フォーブス ジャパンは昨年12月1日、「日本の起業家ランキング」のアワードイベントを開催した。今回は、弊誌ランキング評価委員会による審査とは別に、イベント協賛企業のみずほ銀行が独自審査によって「みずほ賞」受賞者を選出。同行イノベーション起業支援部 大櫃直人部長にその選出のポイントを聞いた。


今回、みずほ賞を選ぶにあたって重視したのは、「イノベーティブな事業に挑戦し、経済・社会に大きなインパクトをもたらすか」です。

2016年4月にベンチャー企業支援の専門組織「イノベーション企業支援部」を設置し、次世代を担う、たくさんの優れた起業家にお会いしてきましたが、今回はAZAPAの近藤康弘CEOを選出させていただきました。

AZAPAは自動車に欠かせない「エンジン制御(ECU、電子制御ユニット)」に関する独自のコア技術をベースに、未来の自動車づくりにおける、さまざまな課題を解決するための技術支援やアイデアの提供を行っています。

AI(人工知能)による自動運転、コネクテッドカーなど自動車のあり方が大きく変わっていく中、同社は自動車メーカーと第1次サプラヤー(Tier1)との間に入り、両者の橋渡しを行う「Tier0.5」という独自の立ち位置を築きながら、自動車産業のイノベーションを牽引しています。

そこにはまさに“ものづくり大国”として成長を遂げてきた日本が目指すべきイノベーションの神髄があり、その中核を担うAZAPAの存在自体がイノベーティブといえます。

近藤CEOは、大手自動車メーカーで長年エンジン制御理論の開発に携わった後、08年にAZAPAを創業されました。同社が掲げる「Tier0.5戦略」はエンジニアとして自動車を知り尽くした近藤氏だからこそ成し得た新しい自動車づくりのカタチであり、今では部品メーカーや研究機関が絶え間なく近藤氏のもとを訪れ、日々、自動車づくりの新たな可能性を模索しています。

自動車メーカーと第1次サプライヤーの間に入ることで生み出した“つながり”によって、新しい価値を創り出す試みを近藤氏は「共創ソリューション」と名付け、自動車業界のみならず、その他の業種も巻き込んだ幅広い領域でのイノベーション創出に貢献しています。

「Tier0.5戦略」の独創性、そして近藤氏自身がイノベーションの体現者として変革へ挑戦し続け、自動車産業を基点に広く社会の問題解決に取り組まれている。この点を、今回は高く評価させていただきました。

AZAPAという社名は、平和の象徴であるオリーブの希少品種であり、他の品種との交配によって結実するという特徴があります。技術と技術、企業と企業、人と人とのつながりによって新しい価値が生まれる、そしてその先に真の世界平和がある。そんな未来を見据える近藤氏のビジョン、熱い想いに感銘を覚えます。

今後もさまざまな共創による変革を起こしてほしいという想いを込めて、選出させていただきました。これからもみずほは、未来を担うイノベーション企業のビジネスパートナーとして、チャレンジを続ける起業家をサポートし、日本の経済・社会の発展に貢献していきます。

近藤康弘/AZAPA

設立
2008年7月、資本金8億5500万円従業員数75名(10月末現在)
事業内容:『限界に挑むパートナーと共に、ひらめきと感動のあるソリューションを創出する』をブランドミッションに「Tier0.5」のポジションを確立した独立系開発会社。モデルベース開発(MBD)による制御開発手法に長けており、対象物の因果関係を紐解くことで、アイデアの創発を行う。近藤康弘CEOのクルマに留まらない幅広い知見を活かし、あらゆる産業への展開を見据えている。



大櫃直人(おおひつ・なおと)◎1988年みずほ銀行入行。本部法人営業支援、営業店長等を経て、2016年から現職。自ら有望ベンチャー企業を精力的に開拓し、成長支援を実践している。

文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 日本の起業家 BEST100」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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