グーグルを解雇の「保守系社員」が法廷に、白人の権利主張

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グーグルのエンジニアだったジェームズ・ダモア(James Damore)は、テック業界における男女間の能力の差について記した、所謂「マニフェスト」を執筆し、社内で回覧したために同社から解雇された。それから数ヶ月が経ち、ダモアは同社を提訴した。

「バズフィード」によると、ダモアと彼のグーグル時代の同僚であるデービッド・グーデマン(David Gudeman)は、「グーグルは白人男性に敵対的で差別的な職場」だとし、同社を提訴したという。ダモアは、カリフォルニア州共和党全国委員会の女性委員であるHarmeet K. Dhillonを弁護士に選び、グーグルに勤める保守的な思想を持つ白人男性を含めた集団訴訟を認めるよう求めている。

訴状によると、グーグル幹部や従業員はダモアのメモと思想を批判し、ダモアは解雇される前に会社から嘲笑され、侮辱されたという。ダモアは昨年8月、「Google’s Ideological Echo Chamber」と題したメモを執筆して社内に回覧し、ネット上で拡散して大きな論争を巻き起こした。

ダモアは、通称「Google Memo」と呼ばれるこのメモの中でグーグルの多様性政策や社風を批判し、彼個人の経験や行動データに基づいて女性は生物学的にエンジニアに適していないと論じている。

メモに対する反発が広がる中、グーグルCEOのサンダー・ピチャイはダモアを解雇し、彼の見解を強く批判した。しかし、ピチャイの言動によって、職場における言論の自由に関する論争が巻き起こった。ダモアはピチャイの言動を公に批判し、全米の保守層やオルタナ右翼に向けてメディアツアーを展開していたが、今回集団訴訟を求めたことで再び注目を集める形となった。

訴状によると、ダモアとグーデマンは白人男性に生まれたことや、偏った政治思想を持ったことで職場の同僚から仲間外れにされ、けなされ、罰を受けたという。グーグルの社員たちが使用しているフォーラム上では、保守的な思想を持った白人男性に対する敵対的なコメントが多く書き込まれているという。米国では、「セサミストリート」に登場するカエルのカーミットが紅茶を飲んでいる画像に「僕には関係ないね」というコメントをつけるインターネットミームが流行しているが、このミームの中には「トランプ支持者が人種差別的な言動を隠さない候補者を応援していることは嘆かわしいことだが、僕には関係ないね」という投稿が見られる。
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編集=上田裕資

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