広告主の懸念としては他に、選手の脳損傷の問題がある。近年の研究では、ほぼ全てのNFL選手が慢性外傷性脳症(CTE)を患っていることが示された。このニュースが注目されればされるほど、フットボールの前向きな印象が失われ、広告もこの議論の中に埋もれてしまう。実際、米国の高校でのフットボール人口が減っているのも、脳症に関する懸念が原因かもしれない。
こうした問題を受けてか、NFLの視聴者数は今年、5%以上低下した。これがスーパーボウルにも当てはまるかどうかはまだ分からないものの、視聴者数の減少により、広告主は多額の費用を要するスーパーボウル広告枠を敬遠するかもしれない。
広告主にとって今年のスーパーボウルが特に読めないのは、こうした課題が背景にある。広告を出せば広い範囲に集中的に働きかけられるのは確かだが、リスクや論争、視聴者数減少の可能性や、超高額なコストなどのマイナス面も付いてくる。
さらに、スーパーボウルの数日後には平昌冬季五輪の開幕が控えている。五輪はスーパーボウルとは異なるマーケティング手法が必要とされ、その効果もはるかに劣るかもしれないものの、広告主にとっては考慮すべき代替案となっている。
NBCテレビは昨年10月時点で、スーパーボウルの広告枠が「ひと握り」しか残っていないとしていたが、今はおそらく大慌てで広告主に購入を打診し、大幅な値引きを提示していることだろう。