従業員の退職を認め、代わりとなる新たな従業員を採用することは、企業にとっては明らかにコストが増大する要因だ。ギャラップは、従業員の退職が米企業にもたらすコストは年間305億ドル(約3兆3776億円)と推計している。
従業員の福利厚生に関するソリューションを提供する米ゼーンベネフィッツによれば、「退職した従業員に代わる人材を新規採用することによって発生するコストは平均で、退職した人の給与の6~9か月分になる…退職したのが高額の給与を受け取っていた、あるいは幹部レベルの従業員だった場合、コストは退職した人の年収の2倍に達する可能性もある」。
企業にはその他の間接的なコストも発生する。仲間が抜けたチームのメンバーたちは、見捨てられたような気分になっているかもしれない。企業は残された従業員たちの士気の問題にも対応しなければならない。
退職した従業員が担当していた職務を代行する他の従業員を選び、新たに採用する候補者を選んで面接し、身元を調査し、サインオンボーナス支払い、研修を行うなど、企業はさまざまなことを行う必要がある。そうした中で企業にとって最大の間接的なコストとなるのは、生産性の低下だろう。新たに採用した従業員の生産性が向上して退職した従業員と同程度になるまで、何か月もかかる場合もある。
エンゲージメントの重要性
ギャラップの調査では、職場に愛着を持っていないミレニアル世代の労働者の割合は、71%に上る。ただ、職場に愛着を持っているミレニアル世代はそうでない人たちに比べ、転職を考える割合が26%低い。これは、昇給の割合が20%以下の場合の結果だ。企業は雇用主として、従業員のエンゲージメントを高めるための対策を講じるべきだろう。
この記事を通して筆者が伝えたいのは、次のことだ。
働くミレニアル世代にとって賢明な行動は、雇用主から「君はクビだ」と言われるのを待たず、自分から「辞めます」と言うことだ。