例えばグーグルの共同設立者セルゲイ・ブリン、オラクルの共同設立者ラリー・エリソン、投資家のピーター・ティールはいずれも、人間の寿命延長に注力するベンチャーに出資している。
不老不死(あるいは、少なくともより長く健康的な人生)の実現に向けては、多くのアプローチがとられている。人間を人工知能(AI)と融合させ、意識を人工脳に移すことで、身体がボロボロになっても生き続けるというアイデアのほか、医学が発達して蘇生が可能になるまで身体全体、あるいは頭のみを凍結保存する極低温技術も真剣に検討されている。
他に取られているアプローチとして、DNA改造がある。幹細胞を使った疾病治療は今、ますます大きなチャンスを生み出している。おそらく、幹細胞や遺伝子改変の技術は、充実した人生の大幅な延長につながるだろう。
また、パラビオーシス(並体結合)と呼ばれる手段を使う人々もいる。内科医のアレクサンドル・ボグダーノフは1924年、若者の血液を自分に輸血することで若返りに成功したと発表した。(ボグダーノフは後に、マラリアと結核にかかった学生の血液を輸血し亡くなっている)
ワールドクリニック(WorldClinic)の最高経営責任者(CEO)で、書籍「The World of Concierge Medicine(コンシェルジュ医療の世界)」を執筆した医学博士のダニエル・カーリンはこう語る。
「医学は人々の寿命を延ばせるまでに発達してきており、富裕層の一定の割合がこうした発展の利益を享受している。ワールドクリニックでは長寿計画に注力しており、最先端医療を利用した健康な長寿の実現を目的にしている。長生きに興味を持ち弊社を利用する人々はますます増えている」
大金持ちたちは長生きのための最先端医療研究に投資し、ワールドクリニックのようなコンシェルジュ医療企業は裕福な顧客が長く健康に生きられるよう知識や方法を駆使している。
他にも患者の寿命を延ばそうと試みる医師はいる。その一人が、コミュニティ・ヘルス・アソシエイツの医学長で、MDVIP社が運営する医師ネットワークの一員でもある医学博士のジェフリー・フリードマンだ。
「健康という言葉にはさまざまな意味があるが、われわれにとっては、素晴らしい人生を送ること、そして長く生きることを指す。われわれの仕事は、病気になった時の治療だけではなく、病気を予防し長く生きるための手助けをすることだ」とフリードマンは語る。
おそらく、医療の進歩により寿命は長くなるだろう。さらに、大金持ちの多くが、死への解決法を見出すため莫大な資本を投じている。人々はその間、より長く健康に生きる可能性を高めるための行動に出ることができる。カーリンやフリードマンのような医者は、こうした目標の達成を支援してくれるのだ。