国境は知っている! 〜ボーダーツーリストが見た北東アジアのリアル


「東京五輪までは」というのは日本の側の勝手な意気込みにすぎず、日本を訪れる外国人のマインドとはほとんど関係がない。2020年以前にいまの勢いは失速してしまうかもしれないし、五輪以後も増え続ける可能性だってある。それを決めるのは日本側ではなく、相手の側なのだ。

訪日外国人の増加について、懸念材料があるとすれば国際情勢だ。平昌冬季五輪以後の朝鮮半島有事もそうであるが、訪日外国人のトップ2が中国と韓国であることが気がかりだ。なぜなら、この両国ほど政治が観光に影響を与えやすい国はないからだ。

たとえば、2011年の東日本大震災後、訪日旅行の回復が最も遅れたのが韓国だった。同国のメディアがしつこいほどに日本の放射能汚染を喧伝していたからだ。その一方で、昨年、これほど多くの韓国人が日本を訪れた背景には、高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備に対する中国の露骨な嫌がらせがある。

どういうことかというと、中国最大のコリアンタウンがある遼寧省瀋陽市に建設されていた投資額3000億円にものぼるロッテワールドの開発が、昨秋、突然中止に追い込まれた。中国の団体客の韓国への渡航制限も一時緩和されると思われたが、そうなっていない。こうした一方的なやり口から、韓国の人たちは中国に歓迎されていないと受け取らざるを得なかった。

朴政権時の中韓蜜月で2016年には両国の相互訪問人口は1500万人にまで拡大したが、昨年激減し、その反動で日本に観光客が流れたというのが真相だ。

訪日外国人数のような右肩上がりの経済指標は、近年の日本では珍しく景気のいい話だ。政府は2020年に4000万人という目標を掲げているが、都合のいい話だけ並べていては、足元をすくわれかねない。外国人観光客増加の明暗をきっちりと頭に刻み込むべきである。

文・写真=中村正人

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