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2018.01.17

中国で消えない「象牙」の違法売買、SNSで直販の業者も

charissadescandelotter / shutterstock

世界最大の象牙市場である中国は、2017年12月31日に象牙の販売を全面禁止したと宣言した。中国では象牙がステータスの象徴として扱われ、アフリカでの象の密猟につながっていた。同国は2015年以降、段階的に象牙の販売を禁止してきたが、2017年には残る105の店舗、工場を閉鎖した。

ナショナルジオグラフィックは「象牙の採取を目的に、2010年から2012年までの3年間でアフリカゾウ10万頭が殺害され、過去10年で中央アフリカの一部の地域では密猟が原因でゾウの64%が死んだ」と指摘した。

急速に経済発展を遂げる中国では象牙の人気が高まり、ブラックマーケットで活発に取引された。象牙の販売が禁止されていても、当局の取り締まりは徹底されていなかった。

非営利団体の国際動物福祉基金(International Animal Welfare)でアジア地域ディレクターを務めるグレース・ガブリエル(Grace Ge Gabriel)は、「市民の99%は法を遵守していると信じている。ほとんどの人は象牙を買おうとはしていない」と語る。

中国の消費者はかつて、箸置きのような小さな象牙の彫刻品を熱心に買い求めていた。象牙の投資家も存在し、2011年前後は象牙を取り扱う店はいつも品切れだった。中国は2016年12月に象牙貿易の禁止を発表。その後価格は下がった。象の密猟自体は2012年以降減少している。

しかし、中国には象牙のグレーマーケットが定着している。犯罪者たちは、これらのマーケットを使って、密猟した象を"ロンダリング"していた。

動物保護団体「Save Rhino」によると、同じく高値で取引されるサイの角は、中国でまだ販売されている。中国では1990年代に、医薬品としてサイの角が積極的に買われるようになり、南アフリカではサイの密輸が問題化している。

中国が象牙販売を全面禁止したことは、別の国にはプレッシャーとなるだろう。象牙の取引は日本や香港、アメリカでも行われている。野生動物の取引に反対する団体「WildAid」は、中国で圧倒的な知名度を誇るNBAスター、ヤオミン(姚明)氏を起用し、消費者向けの啓発活動に取り組んでいる。

ただし、中国での象牙の販売が完全に停止されたわけではない。国境をまたいで運び込まれる商品もあれば、ソーシャルメディアを用いて密かに販売する業者もいる。政府はこれらの動きの監視も徹底する必要がある。

編集=上田裕資

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