「オンライン・オフラインを問わず接続できるメディアで、毎日の生活に新たな提案をしたいんです」と語る代表の吉田大成は、前職のグリーで「釣りスタ」などのソーシャルゲームをヒットさせてきた経験を持つ。隙間時間にゲームを楽しむ人々を見て、コンテンツにはライフスタイルを変える力があると実感したのだという。
毎日の生活を豊かにするという理念は、コンテンツづくりにおいても同様だ。エブリーでは4つのメディアにそれぞれ編集長を擁立し、その責任のもとで試行錯誤を重ねている。例えば、DELISH KITCHENでは主婦が料理に対して抱える課題にフォーカスし、従来のレシピサイトのような調理手順の解説ではなく、今夜つくるべき料理を「提案」している。同編集長の菅原千遥は、その過程をこう振り返る。
「一般的にイメージされる料理番組のような30分超の動画をつくるなど手探り状態から始まりました。動画を1分ほどの長さにしたところ再生数が伸びるようになり、さらにあるブログ記事を見かけたとき、自分たちのやり方に確信を持ちました。子どもの骨折を機に栄養の摂らせ方を反省した主婦の方が、悩んでいたときにたまたま見かけたDELISH KITCHENのおかげで子どもに喜ばれる料理ができたと書いていて、自分たちの動画が実際に人々を動かしているとわかったんです」
創業からの2年間で、良質なコンテンツづくりとそれを有効にするデータ活用の研究に専念してきたエブリー。3年目には紙媒体やテレビとの提携に加え、「エコシステム化」を目指すと吉田はいう。
「例えば、近隣のスーパーの特売情報の提供開始によって、レシピ動画の食材を安く買えるお店を紹介したり、特売情報からレシピの提案をすることで、より料理をつくるまでの課題を解決しています。ほかにも、料理することがさらに便利で楽しくなるよう、幅広い領域でユーザーとメーカー、そして流通を含めたエコシステムをつくり上げていきます」