トランプ政権、留学生を締め出しへ? 起業界に打撃の恐れ

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ズースクの共同創業者アレックス・メヘルとシャヤン・ザデーは、学生だった1990年代にイランで出会い、米国での起業を夢見るようになった。2人はともにメリーランド大学へ進学し、起業家向けのワークショップに参加。別の学生2人と共に新しいビジネスソフトウエアのプロトタイプ開発と事業計画策定に取り組み、ワークショップ内のコンテストで第2位になった。

4人は会社を設立してから、移民専門の弁護士を訪ねた。そこで彼らは悪い知らせを受ける。全員が企業経営者である外国人4人のH-1Bビザ申請は却下される可能性が高い、と。彼らは弁護士の助言に従い、会社を解散した。

シャヤン・ザデーは修士号取得後、マイクロソフトへ就職。一方のアレックス・メヘルは大学に残り、短期の卓越能力者ビザ(O-1ビザ)取得を試みたが、うまくいかなかった。彼は結局、移民多様化ビザ抽選プログラムによって永住権を取得し、IT系コンサルティング会社を経て米航空宇宙局(NASA)に就職した。

アレックスとシャヤンは後にカリフォルニア州サンフランシスコへと移住し、新規事業の構想を練り始めた。2人とも永住権を取得していたので、移民法は起業の妨げとはならなかった。後にズースクとなる会社は当初、フェイスブック上でユーザーが動画をアップロードして投票できるアプリを開発していた。これが最終的に、フェイスブックのプラットフォームを使用した独身者向けの出会い系サイトとなった。

サンフランシスコに本社を置くズースクは現在、25か国語に対応し、80か国以上の3300万人が利用している。同社によると「ズースクは、アップルのアップストアでNo.1のオンラインデート&ソーシャルネットワークアプリ」だという。

米国政策財団(NFAP)が2016年に行った調査によると、米国のユニコーン企業(評価額が10億ドル以上の非公開スタートアップ企業)87社のうち、留学生として渡米した外国人によって設立された企業は21社だった。設立者に移民が1人でも含まれる企業は87社中44社。つまり、移民起業家の約半数がかつては留学生だったということになる。
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編集=遠藤宗生

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