名目だけの「匿名」社員調査 回答が上司にばれたらどうする?

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以下は読者のアーネストから寄せられた便りと、私からの回答だ。



私の会社は毎年「匿名」の従業員調査を実施しています。ここで「匿名」とかっこ付きで書いたのは、私が今まで会話した同僚の中で、この調査回答が本当に内密にされていると考えている人はいなかったからです。

そのため、私は今まで調査に回答したことはありませんでした。しかし今年はついに「思っていることを正直に書いてみようか?」と思い、回答することにしました。あまり細かくは記入しませんでしたが、部署や会社全体の問題について率直に書きました。

個人が特定できるようなことを述べたつもりはありませんが、どうやら上司は私が回答したことを知っているようです。おそらく、私しか回答者がいなかったのでしょう。同僚たちにも聞いてみましたが、今のところ他に調査に答えた人はいません。

チームのある同僚からは「あの調査に回答したなんて信じられない。良い考えではなかったね」と言われました。

調査を提出してから、上司のポーラは私に冷たい態度を取っています。毎週開催している1対1のミーティングでは「何か話し合いたいことはありますか?」と聞かれました。あまり優しい口調ではなかったので、どう答えれば良いか分かりませんでした。

私は今まで、上司の決断や会社の方針に関して問題だと思うことを積極的に議論してきましたが、今は自分が守りの姿勢を取っているように感じます。

従業員の率直な意見を知りたくないのであれば、なぜ会社は調査などするのでしょうか? ポーラが私の回答を知っていたとすれば、なぜそう言わないのでしょう?

私はどうすべきでしょうか。



大企業になればなるほど、リーダーと従業員の関わりが薄くなる。そこで「匿名」従業員調査のような、意味のない侮辱的な施策が導入される。

誰かの考えていることを本当に知りたかったら、相手に直接聞くだろう。調査の配布が必要だと企業が考え(しかも回答は極秘だと従業員に言い始め)た時点で、会社はすでに闘いに負けている。

この場合、会社はチームと本物の信頼関係を築くことをすでに諦めてしまっている。従業員に「正直な回答をしても絶対に安全です!」と言っても社内の信頼は構築できない。

それに実際、回答は安全ではないだろう。会社にもっと信頼関係があれば、ポーラはあなたの懸念に気づき、あなたとざっくばらんに、そして頻繁に議論するだろう。でも大丈夫。新たな試練は、それに挑戦する準備ができている人にしか降ってこないのだから。
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翻訳・編集=出田静

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