音声アシスタント所有者の22%が「ボイスで買い物」 米調査

beeboys / shutterstock

アドビの報告によると、家電の未来を担うのは「ボイス」だ──。同社の資料によると、スマートスピーカーのアメリカにおける売上は2017年の第4四半期に前年同期比2倍に達し、公共の場であってもデバイスに向かって話しかけることに慣れてきた人が増えている。音声コントロールでショッピングを楽しむ人も増加しているという。
 
また、 アクセンチュアが21か国で行った調査では、スマートスピーカーの売上がすべての国で50%以上も上昇したことが分かっている。製品にボイスアシスタントを組み込むコストが今や14ドルほどになったということも背景にあるだろう。
 
売上が増えていることにより、音声コントロールをメインとするデバイスについて革命が起きている。スマートスピーカーを所有している人の5分の1以上が音声コントロールでショッピングを楽しんでいるという。これは「Vコマース」とでも言えるだろう。

アドビによると「ボイスアシスタント搭載デバイスを持っている人の22%が音声コマンドを(再注文や買い物リストの作成など)買い物で利用している」という。

「これまでの家電インターフェイスの主流はタッチだったが、それを変えかねないのがボイスだ」と、アドビのAdobe Analytics Cloudのディレクターを務めるコリン・モリス(Colin Morris)は言う。「消費者からの需要があることや音声コマンドを使うことに慣れてきた傾向が出てきていることを受け、音声認識技術はさらに進化するだろう」

2007年にiPhoneが登場して以来、人々が技術を使いこなすための主要なインターフェイスとなっていたのが「タッチ」だ。それが変わろうとしているのだから、大きなシフトと言える。

2017年には15億台以上のスマホが売れているため、タッチがなくなることはないだろう。一方で特定のタスクにはボイスの方が適していることは想像に難くない。

例えばバッハを流したい場合はアレクサに声で命令すれば数秒で済むし、他の作業を中断する必要はない。これをタッチで行おうとすると、スマホを手に取って画面ロックを解除し、アプリを起動して楽曲を選ばなくてはならない。ボイスで行った場合と比べると原始的とさえ感じるぐらい時間と集中力が必要なことは明らかだ。

他にも、ある製品を初めて買う場合は目で見て確認したいかもしれないが、過去に買った製品を再び購入する場合や、製品を買い物リストに追加するといったことは、ボイスを使う方が圧倒的に簡単だ。

最もショッピングに適したスマートスピーカーはアマゾンの「エコー」だと言えそうだが一方で、「グーグルホーム」もコストコやコールズ、フライズ、ステープルズ、ターゲット、ウォルグリーンズ、そしてアマゾンのライバルと言えるウォルマートなどへの注文に対応している。

さらにアドビによると、ほとんどのスマートスピーカーの所有者は毎日使用している。また、人前で音声コマンドを使うことに抵抗があると感じる人は16%にとどまっている。

音声コマンドを使って最も行われているのが天気予報のチェックで60%。検索は54%、面白い質問をしてみることが53%だった。そして39%の人が、道順を調べたりアラームの設定をしたりしている。こういった傾向に企業は対応していく必要があるとアドビは指摘する。

「音声コマンドで簡単に操作できることや、可能であれば顧客の情報を事前に組み込んでおくような仕組みが求められる」とモリスは言う。「消費者は、どんなデバイスを使おうと企業が自分の好みを分かってくれていることを期待している」

アドビは今回1000人を対象に調査を行ったほか、「アメリカのオンライン小売業者トップ100におけるオンライントランザクションの80%」を分析している同社のAnalytics製品を使ったと述べている。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事