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ヘルスケアデータとAIを組み合わせれば、個人にカスタマイズされた治療を受けられるという利点もある。現在、保険や投資分野でも活用が始まったAIだが、ともに個人化されたサービスを安価かつ効率的に提供してくれるという特徴がある。その文脈で考えれば、「個人化された医療サービス」が登場してくるのは時間の問題かもしれない。

例えば、アメリカのSequoia病院とIBMは、手術後の合併症予測および患者別の管理ガイドライン作成にAIを採用している。同AIは、約1万人の心臓病患者のデータ、人口統計、手術の種類、危険要因などを分析することで、手術後の死亡率を50%減少させるという優れた成果を出し始めているという。

また「患者待機時間の減少」も期待されている領域だ。米Johns Hopkins病院とソフトウェア企業Tableauとの共同研究では、集中治療室にとどまる患者の時間を、平均11時間から4時間にまで短縮することに成功したという結果が報告されている。またAIは、診療科ごとに縦割りとなってしまった知識を統合し、専門科医同士の協業を促すことにも威力を発揮していくだろう。

ウェアラブル端末装着で保険料割引

個人の健康管理にも、「AI×ヘルスケア」は変化を及ぼすはずだ。実際、関連サービスも続々登場している。

米Cafewellは、ウェアラブル機器と個人医療情報、IBMワトソンを活用し、個別の健康管理プログラムや、病院情報などを提供するサービスをてがけている。一方、米Pilxはリアルタイムで心電図情報をモニタリングし、異常がある場合に医者に通報するサービスを提供している。英Pruhealthの事例も興味深い。同社は、ウェアラブル端末を通じて得た運動量情報などをベースに、保険料を割引するサービスを提供している。

そのほか、新薬開発の分野においても人工知能の活用が著しく目立ってきた。主な使い道としては、予測モデルを利用し、開発成功の可能性が高い材料物質を選びだすというものだ。同分野のサービスで代表的な企業としては、Atomwise、Insilico Medicine(いずれも米国)などがある。

人間の命や健康に関するテクノロジーおよびビジネスの発展は、各国の法律や道徳観念にも深く影響される。日本における「AI×ヘルスケア」の普及を考える際には、それら世の中のインフラと意識の在り方にも注意を向けていく必要がありそうだ。

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文=河鐘基

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