4ピストンのブレンボー・ブレーキのおかげで、制動時には充分に路面をとらえ、ペダルの剛性がいい。普通の速度では、風切りノイズとロードノイズは抑えられていてほとんど聞こえないが、面白いことにこのクルマは、耳に心地よいさりげないエギゾースト音を人工的に作って、スピーカーから室内に入れている。
レザーがふんだんに使われた室内は高級感のある作りで、黒とシルバー2色使いのステアリングとダッシュボードがスタイリッシュだ。アルミ調パドル・シフターは、触れるだけでギア・チェンジが快感になる。ヘッドルーム、レッグルームはデザイン指向のSUVとしては充分と言える。ただ、インフォテーメントは使いやすいが、ちょっと古く感じた。
ステルヴィオは、アルファ ロメオが初めて手がけたSUVとして成功だ。走る姿は目を惹き、加速性はよく、ステアリングは正確。インテリアも贅沢でユーロNCAPで星5つを獲得した安全機能を標準で装備している。
つまり、ジュリアがドイツの優秀なスポーツセダンに王手を掛けたように、ステルヴィオもドイツや日本などの高級SUVと競争できる素質は持っている。そのデザインと性能を確かめようとショールームを訪れる人は、これから数年増えるはずだろう。日本での価格はまだ発表されていないが、おそらくドイツ車に近い数字になると予想される。
国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
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