その勢いにのるアルファ ロメオが、今度は高級クロスオーバーというセグメントに初めてSUVを送り込んできた。ステルヴィオだ。同車は、ジュリアのプラットフォームを共用しながら、ジュリアにない資質を与えられている。セクシーさ満載の見事なプロポーション、パンチの利いたエンジン、走りが素晴らしい。
2020年までにSUVが世界の自動車シェアの3分の1を獲得すると言われているが、このセグメントには各メーカーがどんどんモデルを投入している。人気を得ているのはBMW X3、メルセデス・ベンツGLC、ポルシェ・マカン、ジャガー Fペース、アウディ Q5、レクサス NXなどだ。そこにゴージャスな外観と抜群の存在感を持つステルヴィオが斬り込んできたというわけだ。
ステルヴィオは、妖艶なジュリアよりは若いプロポーションだが、アルファ ロメオの看板となっているグリルをまとう。ヘッドライトはキリッとバランスがよく、ボディ後部のカーブはミラノ・コレクションのキャットウォークをこれ見よがしに闊歩するトップモデルのようだ。
でも、ステルヴィオの魅力はもちろん美しい顔立ちだけではない。4気筒エンが力強くキビキビと走り、ステアリングはキリっと切れがよく、乗っていて楽しい。僕は昨年末にロサンゼルスで乗ってきたので、レポートを送ろう。
280psを発揮する2.0L ターボエンジンは、0-100km/hの加速性はわずか5.7秒で、ほとんどのドイツのライバル車に引けを取らない。加速は素早く力があり、8速オートマティック、アルファの4WDシステムはとてもトラクションがいい。
普段は後輪駆動で走るが、コーナーや滑りやすい路面では、50%のトルクが前輪に送られて安定性を保つ。高速コーナーに差しかかり、ブレーキをかけて減速し、ステアリングを切ってコーナリングがぴたっと決まった時、ステルヴィオは、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」の名アリア「誰も寝てはならぬ」を聞いた時のように鳥肌もののクライマックスを期待どおりに迎えさせてくれる。
コーナーでは、限界まで加速すると、クルマはかなり傾きアンダーステアが目立つようになるが、80%程度に抑えればほとんどボディ・ロールせず、意図したラインを正確に保ってくれる。
スポーティに走らせつつ、コーナリングで姿勢をできるだけ平らに保つため、ステルヴィオのサスペンションはかなり堅くセットされている。だから、乗り心地は概ねよいものの、たとえばBMW X3ほどの従順さはない。