ビジネス

2018.01.15 11:30

Forbes厳選!米国の「次なるユニコーン」25社


9. Optoro

調達額:1億2900万ドル
2017年売上予想:5000万ドル
創業者:Justin Lesher, Tobin Moore (CEO), Adam Vitarello
リードVC:Grotech Ventures, Revolution Growth, UPS

オンラインショッピングの返品商品を収益化

10年創業。EC購買で返品される商品を受け取り、ベストな方法で再販するワンストップサービス。再販ルートと価格は、顧客の倉庫や店舗の在庫、また市場類似商品の価格トレンドのモニタリングにより自動決定。Optoro自前の再販サイトBlinq、アマゾン、イーベイのほか、ダメージのある商品専用のサイトも用意し、返品からの回収額を最大にする。

米国ECにおける返品率は全体で25%、衣料品では50%ともいわれる。さらに、返品が元の棚で売られる可能性は10%以下。未開封であってもシーズンオフだったりするからだ。CEOのトビン・ムーア(35)曰く、「Optoroを使えば、返品からの収益回収率は倍以上になる。来年は流通総額10億ドルを見込んでいます」。すでにHome Depot、Targetなど大手小売30社が顧客。廃棄物を減らすエコ企業としても注目されている。



10. Farmers Business Network

調達額:8400万ドル
2017年売上予想:6000万ドル
創業者:Charles Baron, Amol Deshpande (CEO)
リードVC:Acre Venture Partners, DBL Investors

生産技術も市場価格も。農業ビッグデータ共有

14年創業。農家のための包括的なデータ共有プラットフォーム。ドローンやモニタリングデバイスによる高度な生産技術の収集・分析・共有だけでなく、種や農薬、肥料について価格や評価を共有できるシステムがキモ。生産者とバイヤーのマッチングサービスも開始するなど範囲を拡大。生産、仕入れ、販売、すべての農業フローを最適化する。

11. Interactions

調達額:1億6300万ドル
2017年売上予想:1億ドル
創業者:Michael Cloran
リードVC:Comcast Ventures, Cross Atlantic Capital Partners

音声によるバーチャルアシスタント最大手

04年創業。ロボット音声におるカスタマーサービスソフトウェアを開発。特許取得のAIベースのテクノロジーにより、高度な会話がシームレスに可能となる。08年からCEOを務めるマイケル・ヤコブチのもと、14年にAT&Tの音声認識チームの技術および研究者40人を買収。HyattやBest Western、保険大手のHumanaなど全米大手50社以上を顧客にもつ。

12. Leesa Sleep

調達額:3000万ドル
2017年売上予想:1億5000万ドル
創業者:David Wolfe (CEO), Jamie Diamonstein
リードVC:One Better Ventures, TitleCard Capital

熾烈なマットレス市場に現れたニュースター

14年、ダイレクトマーケティングのベテランであるデイビッド・ウォルフと、マットレス製造3代目のジェイミー・ダイヤモンスタインが創業。今年6月、エコ家庭用品メーカーSeventh GenerationのCEOジョン・リプラグルの主導で2,300万ドルを調達。マットレスに加えてプラットフォーム型のベッドや枕を開発予定で、5年以内に年商10億ドルを目指す。

新興ブランドが勃興する米マットレス市場において、急成長中なのがLeesa Sleep。小売大手Targetらから2.4億ドル超を調達したCasperなどの新興競合に比べると、メディアの注目度はまだ高くないが、今年の売上は1.5億ドル超を見込む。今年9月上旬には全米に80店舗を展開するインテリアのセレクトショップWest Elm、またhome decor storeにおいて、Casperに置き換わる形で対面販売を開始したこともニュースに。



13. Jive Communications

調達額:1900万ドル
2017年売上予想:1億ドル
創業者:Matthew Peterson, John Pope (CEO), Mike Sharp, Andrew Skeen, Brent Thomson, Stephen Todd
リードVC:Guidepost Growth Equity

世界No.1、企業向け社内外SNS

06年創業。世界No.1の導入実績をもつ企業向けSNSベンダー。従業員間だけでなく、従業員と外部の顧客、およびサプライチェーンのパートナーが、音声や動画をはじめとしたさまざまなコミュニケーションツールでつながる。他の急成長スタートアップとは異なり、CEOジョン・ポープ(39)ら経営陣は大きな資金調達はしない方針のようだ。

14. Orbital Insight

調達額:7900万ドル
2017年売上予想:2000万ドル
創業者:James Crawford (CEO)
リードVC:GV, Sequoia Capital

地球規模の空間ビッグデータ収集&解析

13年創業。マシンラーニングとAIを用い、衛星写真による定点モニタリングデータを解析。中国の森林破壊が地球環境に与える影響の測定から、一定期間の衛星写真で小売店の駐車台数をカウントすることによる次の四半期の売上予測まで、さまざまな分析が可能に。進行中のプロジェクトは、保険会社のためのより精度の高い洪水予測開発だ。

15. Ginkgo Bioworks

調達額:1億5400万ドル
2017年売上予想:2000万ドル
創業者:Jason Kelly (CEO), Reshma Shetty, Austin Che, Barry Canton, Tom Knight
リードVC:Senator Investment Group, Y Combinator, Viking Global Investors

ゲノム編集微生物が、あらゆる素材を生成する

08年創業。Y Combinator発のゲノム編集バイオテック。顧客が求める素材ごとに、それを生み出す微生物(酵母、細菌)をDNA合成によってデザインし、微生物そのものをプロダクトとして提供する。チーズやアルコール醸造、香料の製造、製薬に至るまで領域は無限。現在顧客は25社で、研究開発費と各微生物のロイヤルティーがGinkgoに支払われる。

たとえば、ローズオイルは精製に大量の薔薇が必要なため高価になるが、薔薇の香りの原因となる化合物を特定し、それをつくり出す微生物を設計すれば、安価な香水の製造が可能になる。今年9月にはドイツの化学コングロマリットBayerと新会社を設立、新型肥料の開発を始めた。農業分野では、製造が高コストで環境負荷も大きい窒素系化学肥料が多く用いられている。市場規模800億ドルの化学肥料市場にも革命が起こるか。

16. Zola

調達額:4100万ドル
2017年売上予想:1億2000万ドル
創業者:Shan─Lyn Ma (CEO), Nobu Nakaguchi
リードVC:Canvas Ventures, Lightspeed Venture Partners

「結婚祝い」2兆円市場の革命児

13年創業。結婚祝いギフトの総合モール。米国では結婚の際、「ウエディング・レジストリ」と呼ばれる、祝われる側が作る「ほしいものリスト」のシステムがよく利用される。新郎新婦はZolaのサイトにある膨大な商品からリストを作り、友人らはそのなかから贈るギフトを選ぶ。Zolaは在庫をもたず、ギフト取扱業者が商品を直接新郎新婦に送る。

ZolaにはKitchenAidやDysonなど、500を超えるメーカーやギフト取扱業者が登録。プロによる部屋のインテリアデザインや料理教室といった体験型ギフトも揃える。ハネムーン基金、キャッシュ基金などのクラウドファンディングの仕組みも提供。創業者ふたりはブランドECのGilt出身。同社創業者からも出資を受けた。CEOのシャンリン・マーは「NextBillion─Dollar Startups2017」に選出された唯一の女性創業者。
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編集=杉岡 藍 写真=デイビッド・イエレン

この記事は 「Forbes JAPAN 日本の起業家 BEST100」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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