そして、17年6月、創業から丸4年経過したGameWithは東証マザーズへ上場。今泉は現在28歳、平成生まれ初の上場企業社長となった。17年5月期は売上高15億8100万円、経常利益6億5400万円、従業員数108名まで成長している。
「創業前のゼロイチから携わっているため、彼らの可能性を誰よりも信じています。だからこそ、上場後もファンドの制約がなければ“一株も売りたくない”のが本音です」
村田はなぜ、起業家目線の伴走役を担ってこられたのか? 過去を紐解くと、そこにはプロ伴走者・村田祐介を形づくるきっかけとなる存在がいた。
1999年、大学1年生の村田は渋谷ビットバレー活動に参加、自らも起業した。その時は軌道に乗らなかったが、起業家としての再挑戦を誓い、2003年にエヌ・アイ・エフベンチャーズ(現:大和企業投資)の門を叩く。キャリアを重ねる中で、インキュベイトキャピタルパートナーズ(当時)の赤浦徹、グロービス・キャピタル・パートナーズの仮屋薗聡一らと、投資先の取締役会で接する機会が増えていった。
「2人がコミットしたスタートアップが成長していく過程を間近で見る中で、起業家の伴走者という思いが強まった。なぜ、赤浦さんの投資先はゼロイチからしっかり立ち上がるのか。なぜ、仮屋薗さんの投資先は非常に上手くいくのか。再現性がどこまで上げられるかを突き詰めれば、シリアルアントレプレナーではなくパラレルアントレプレナー的にやれると考えました」
米シリコンバレーを見れば、著名投資家であるKPCBのジョン・ドーアとセコイア・キャピタルのマイケル・モリッツの2人が関わった投資案件で、ナスダック上場企業時価総額の30%を占めた時期もあることにも刺激を受けた。
「その人が関わるから上手くいく、ということがある。自分もそんな存在になりたい」
村田はいま、新たな挑戦をはじめている。代表パートナーとして後進投資家を育てるためのファンドも立ち上げ、そして日本ベンチャーキャピタル協会企画部長として、ベンチャー投資関連情報の発信や機関投資家向けに国内VCファンドのレギュレーション整備を行い、業界の地位向上に取り組む。その姿はまるで“日本のベンチャーエコシステムの伴走者”のようだ。