バーチャルへの依存は「現実の病気」 疾患として分類へ

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世界保健機関(WHO)は先ごろ、オンラインゲームに集中しすぎるために日常生活に支障をきたしている状態を精神疾患に指定する方針を明らかにした。また、英国とインドではセルフィー(自撮り)写真のソーシャルメディアへの投稿を自制できない状態を「Selfitis(セルファイティス)」の症状であるとして、診断のための心理測定法が考案された。

ソーシャルメディアやスマートフォンの過度の使用もまた、「真正の」依存症であるとの見方が強まっている。現時点ではこれらの行動をどのように概念化するかについて、大方の合意が得られているわけではない。だが、恐らく数年後までには、全体的な考え方がまとまることになるだろう。これらの「疾患」に関する最近の動向を紹介する。

「ゲーム障害」

WHOは今年、病気に関する世界的な統一基準、「国際疾病分類(ICD)」の最新版に「ゲーム障害」を精神疾患として盛り込む考えだ。ゲーム障害の症状の例としてWHOが挙げているものには、以下などがある。

・ゲームに関する行動をコントロールできない(ゲームをすること、頻度、費やす時間など)
・その他の活動よりゲームを優先する
・日常生活に支障をきたしてもゲームを続ける

オンラインゲームをやめられないことは、その他の依存症とは根本的に異なると主張する人たちもおり、全ての人がWHOの方針に同意しているわけではない。ただ、ビデオゲームを何日間も続けたことで死亡した人の例など、ゲームをしすぎることの深刻な結果も複数、報告されている。

「セルファイティス」

英国とインドの研究チームは、自撮り写真をソーシャルメディアに投稿することに依存する状態にあるかどうか(セルファイティスを発症しているか)を判断するための心理測定尺度を公表した。

チームは大学生のグループに、次のような説明に自分がどの程度当てはまるか答えてもらい、自撮り写真を投稿する動機やその結果などについて、分析を行った。

・友人たちの投稿により多くの「いいね!」やコメントが付くと、負けた気がする
・投稿する自撮り写真の編集や修整に20分以上を費やしている
・自撮り写真を撮ると、憂うつな気持ちから解放されることがある
・自分が投稿した自撮り写真が好評だったりコメントが寄せられたりすると、自分に対する自信が大幅に高まる
・頻繁に一緒に自撮り写真を撮っていないと、グループから切り離されたような気持ちになる

これらの項目に対する適合度に応じて、その人が「セルファイティス」であるかどうか、「境界性」「急性」「慢性」のいずれに分類されるか判断することができる。チームは診断ツールとしてのこの尺度の有効性と信頼性について、かなりの精度を確認することができた。ただし、その精度を実証するためには、さらなる研究が必要だという。
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編集=木内涼子

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