スイスの国際シンポジウムに招待された若者たちの「共通点」

1970年から開催されているサンガレン・シンポジウム


このシンポジウムには、若者向けの「Leaders of Tomorrow」と年長者向けの「Leaders of Today」がある。前夜祭的な歓迎会からはじまる「Leaders of Tomorrow」のプログラムでは、その翌日にスイスの山岳地を回って互いに打ち解けてもらい、二日目は各班でエッセイのテーマの議論を続ける。

その後2日間は、「Leaders of Today」から選ばれたホストが約十名づつの「Leaders of Tomorrow」と小グループで議論するセッションが数回行われる。「MITのビッグデータの先生のセッションは素晴らしかった」と本多氏。彼はほかに、色を音で感じる英国政府公認サイボーグのニール・ハービソン氏ともつながり、インスピレーションを得たそうだ。

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「Leaders of Tomorrow」の参加者同士について鈴木氏は、「今まで会ったことがないような人々と触れ合い、刺激が強かった」と驚きを隠さない。サンガレンの学生のシェアハウスに宿泊した二人は、学生らのフレンドリーさと生き生きとした様子に癒されたともいう。

チャンスをつかむ行動とは?

2016年の年末、本シンポジウム経験者である米良はるか氏(Readyfor CEO)から名前が出てすぐに「彼だ!」とインスピレーションが湧き、筆者は本多氏に連絡した。すぐ話が聞きたいという彼とクリスマスイヴに渋谷でお茶をし、初対面で意気投合。直ちに推薦させていただいた。

一方、エッセイ審査で選ばれた鈴木恵美里氏が、教授から本シンポジウムのことを聞いたのは締切りの一週間前。一気に書いて応募して見事に選ばれた。修士在学レベル以上であればエッセイ次第で誰にでも門戸を開いているのが、サンガレンの特徴だ(2018年は2月1日締切り)。なお、コミュニケーションは英語が前提ゆえ、サバイバルに足る英語力は必須となる。

主催者側はいつも新たな候補者を求め、筆者のような応援団は見つけようと努めているが、容易ではない。一方、この情報化の時代に、こうした機会を知っている若者は驚くほど少数だ。ちなみに、エッセイ審査による日本からの招待者の半分以上は、海外から日本への留学生だ。

「棚から牡丹餅」と言うが、これは、餅が落ちてくる下にいなければゲットできない。東氏のように、待っているのでなく見つける。鈴木氏のように、ピンときたらすぐ行動する。本多氏のように、日頃から良きつながりをつくる。これらは本シンポジウムに限らず、チャンスをつかむために重要なポイントと言える。

サンガレンではもちろん、本質的に明日のリーダーとなることが大切だ。新たな領域を切り開くパイオニア、重要な課題に挑む問題解決者が求められている。とはいえ、やはり行動しなければ何も始まらないのだ。

文=本荘修二

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