職場のセクハラ、米国の加害者は大半が「30代以下の同僚」

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米国では昨秋以降、性的嫌がらせに関する話題がニュースの見出しの多くを占め続けている。メディア界の大物や投資家、著名人など、各界の有力者たちのあまりにもひどいセクハラや性的暴力がほぼ毎日のように、被害を受けた女性たちによって明らかにされてきた。告発される男性たちの大半は、女性たちの雇用機会やキャリアの道に決定的な影響力を持つ、権力のある人たちだ。

女性にとっての職場・生活環境の改善を目指す米フェアリーゴッドボスは昨年11月、職場におけるセクハラのまん延の実態を明らかにするため、米国内のあらゆる業界でさまざまな職種に就く女性たちを対象に調査を実施した。

回答者の大半は、誰もがよく知っているような大企業に勤める人たちではない。一般的な職場におけるセクハラと、メディアで報じられてきたような被害の内容に違いがあるのかどうかを明らかにするためだ。

調査の結果、セクハラの加害者の多くは、女性たちのキャリアに直接的な影響を及ぼし得る男性たちではないことが分かった。調査に協力した女性の40%以上が、職場でのセクハラを経験しており、大半は30歳未満のときに被害に遭っていた。

加害者の男性の57%は上司ではなく、被害者の同僚だった。また、加害者の7割以上が、40歳未満の男性だったという。つまり、職場でのセクハラのほとんどは、ニュースで報じられてきたような嫌がらせとは異なるということだ。

実際のところ、「メディアの関心は加害者の責任を問うことにつながる」と考える女性が60%を超える一方で、「関心の高まりがこの問題の解決につながる」と見る女性は、40%程度となっている。

一方、過去のセクハラ被害を最近になって訴え出た多くの女性たちと同様に、回答者の女性たちの大半も、被害を受けた当時は職場に報告をしていなかった。その割合は、被害者の66%を超えている。また、被害を報告した人のおよそ3分の2は、人事部ではなく上司に相談していた。

報告しなかった理由で最も多かったのは、「トラブルメーカーやつまらないことで大騒ぎする人と思われたくなかった、悪評を買いたくなかった」だった。次いで多かった理由は、「報告することで会社が何らかの行動を取るとは思えなかったから」。こう答えた女性は、被害を受けた人の3割に及んでいる。

こうした調査結果は、セクハラ被害の報告の在り方や研修プログラムの実施などを通じて対策を強化したい全ての企業にとって、重要なものだ。誰によって誰に何が起きたのかを理解することが、対策の実施に向けての第一歩となる。経営陣や人事部がより効率的に問題を把握したり、社内で最もセクハラ問題が発生しやすい状況を予測したりするためにも役立つはずだ。

編集=木内涼子

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